こんにちは、もりのひつじかいです。
今回は
俳句絵本という珍しいジャンルの中から
とっておきの1冊をご紹介しましょう。
『めくってびっくり俳句絵本4
うしろすがた いろんな人の俳句』
村井康司・編 のりたけ・絵
岩崎書店(2016年・第5刷)
という絵本です。
17文字という豊穣
俳句といえば、わが国で一番短い定型詩
ということになっています。
いわゆる
5(ご)
7(しち)
5(ご)
というやつですね。
5+7+5=17
ごらんのとおり
わずか17文字で構成されているわけ
です。
確かに俳句というのは短いけれども、
その短さをむしろ逆手に取って、17文
字を遥かに越える悠久の世界を写し取ろ
うとするところに、この文芸の骨頂とで
も呼ぶべきものが隠されているのではな
いでしょうか。
これは、そんな17文字で表現された世
界の諸相を、俳句絵本というかたちで表
現したものであります。
算数の問題が解けない!
俳句絵本を開くと、まず目に飛び込んで
くるのが西東三鬼(さいとうさんき)の
こんな俳句。
ページにはなんの変哲もない教室の机が
あまた描かれています。
ところが、生徒はだあれもいません。
と左ページだけが見開きとなっており
あれ?
少年が一人机に突っ伏しています。
頭をかかえています。
机の上に広げられた一枚の紙きれ。
おそらく、算術(算数)のプリントであ
りましょうか。
季節は夏です。
今すぐ河原へ行って遊びたい
かき氷も食べたいな
とんぼやクワガタを採ったり
自転車に乗って遠くへ出かけたり
して・・・
そんな夏です。
でも、少年は算術の問題を解くことがで
きません。問題の解き方が分からないの
です。それが分からなければ、ここから
解放されることはかないません。
ああ!
みなさんにはこんな経験、おありになり
ませんか。
ひつじかいは、この少年に大いに共感で
きますね。やっぱり算術(算数)が苦手
な子供でしたから。
「しのび泣けり」というところににリア
リティを感じます。これは、作者の実体
験ではなかったかと思いますね。
ほかにはこんな俳句も。
「パンツ脱ぐ」の俳句は昭和時代の作に
なりますので、多少違和感が(現代では
さすがに、こんな少年はいないでしょう
から)残りますが、少年らしい無垢とか
無謬性みたいなものは、時代を越えて不
変ではないかと思わせてくれます。
そういう意味でこの俳句は、ある種の普
遍性を獲得しているのではないでしょう
か。
「チューリップ模様のシャツ」とは
一体どんなシャツなの?
敵とは誰のことかな?
これって面白い俳句?
それとも、ちょっと変なやつかな?
などなどなど
???が次次と湧いてくる不思議な俳句
ですね。それももちろん、俳句の魅力の
一つなんですが。
「ろりろり」とは
なんだかファンタジックな俳句ですね。
でも
印度の少女だったら「さもありなん」と
さえ思えてきます。ここまで弾けてもい
いんだと、先達の俳句たちは教えてくれ
ます。
そんな俳句の数々とちょっと古風なイラ
ストとのコラボレーション。
なんとも不可思議な俳句絵本です。
ひつじかいのいちおしはこれ!

解説するまでもなく、その瞬間の光景が
まるで映画のワンシーンか何かのごとく
脳裏に浮かんでくるはずです。
夏井いつき先生に言わせると
「それこそが俳句の本領」ということに
なるんでしょうね。
ここまででお伝えしてきた俳句を含め、
この俳句絵本には全部で14の俳句が
おさめられています。
俳句を始めてみたいというお子さんに
いやいや
そういう保護者のみなさんご自身で
手に取ってみて欲しいと思います。
俳句に対する先入観が
次第に溶けていくかもしれません。
