ぼくと星の王子さまのエピソードで綴る〈あらすじ〉はこう!

雪の帽子をかぶった一輪の赤いバラの花 童話・ファンタジーほか
花はむじゃきなんだ!

こんにちは、もりのひつじかいです。

 

今日は、あの世界的ベストセラー
『星の王子さま』の
〈あらすじ〉について
まとめてみたいと思います。

でも

「ふつー」にまとめたのでは
面白くないので
今回は
飛行機乗りの〈ぼく〉と物語の主人公
〈星の王子さま〉にフォーカスし
2人のエピソードを時系列で追いながら
物語の核心に迫ってみたいと思います。

なお、本文中の引用は全て

物語『星の王子さま』オリジナル版の表紙

le Petie Prince 星の王子さま』
オリジナル版
サン=テグジュペリ作/内藤濯訳
岩波書店/2000

から抜粋させていただいております。

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あらすじ1 初めての日の晩

この物語は
ぼくと星の王子さまとの出会いと別れを
ぼくの視点から書き綴っています。

それは時間に換算するとわずか10日間
(実質9日間)の出来事に過ぎません。

その限られた時間の中で
ぼくは生き方を大きく変えるような
そんな経験を積むことになります。

 

初めての日の晩
およそ人の住んでいるところから
千マイルも離れた砂漠のど真ん中に
不時着したぼくは
そこで一人の少年(星の王子さま)と
出会います。

王子さまはぼくに、まるで以前からの
知り合いか何かのような気さくな調子で
「ね・・・ ヒツジの絵を描いて!」と
唐突に要求してきます。

絵心のないぼくは苦心さんたんの挙げ句
なんとかヒツジの絵を仕上げますが
何度描いても
王子さまのお気に召しません。

イライラがつのったぼくは大雑把に
「穴が3つ空いた箱の絵」を描き-

「こいつぁ箱だよ。あんたのほしいヒツジ,その中にいるよ」
 ぶっきらぼうにそういいましたが,見ると,ぼっちゃんの顔が,ぱっと明るくなったので,ぼくは,ひどくめんくらいました。
「うん,こんなのが,ぼく,ほしくてたまらなかったんだ。このヒツジ,たくさん草をたべる?」
「どうして?」
「だって,ぼくんとこ,ほんとにちっぽけなんだもの・・・」

(19ページから抜粋)

と、いうような奇妙ないきさつを経て
ぼくはその不思議な少年と
友だちになったのでした。

あらすじ2 三日目

星の王子さまとの会話を重ねるうちに
ぼくは王子さまが
「どこかほかの星」から来たらしいこと。
そして、その星が
「やっと家くらいの大きさ」しかない
ということを知るようになります。

また

王子さまがその星を出てきた時のことや
地球までの旅のことなども
なんということはなく理解していきます。

やがて

ぼくは
王子さまの星にも生えることがある
バオバブの話しを
聞かされます。

「ヒツジが小さい木をたべるって,ほんとだね?」
「うん,ほんとだ」
「ああ,そうか,うれしいなあ」
 ヒツジが小さい木をたべることが,なんでそうだいじなのか,ぼくにはわかりません。でも,王子さまは,つづけていいました。
「なら,バオバブもたべるんだね?」
 バオバブは小さい木じゃない,教会堂のように大きな木だ,王子さまがゾウの一部隊をつれていっても,たった一本のバオバブの木もたべきれない,と,ぼくは王子さまにいいました。
 王子さまは笑いました。ゾウの一部隊といったのが,おかしかったのです。

(30~31ページから抜粋)

王子さまの星はとても小さいので
バオバブを放おっておくと、根が張り
星そのものが破裂してしまうのです。
だからバオバブを駆除することは
王子さまにとって
ものすごく大切な仕事なのです。

王子さまが
あんなにも「ひつじ」にこだわる理由が
ぼくにも次第に飲み込めてくるのでした。

あらすじ3 四日目の朝

星の王子さまは、ぼくに
「日の暮れるころが大好きなんだ」
と打ち明けます。

ぼくは
こんなにも屈託なく見える王子さまにも
何か「はればれとしない」
秘密があることを感じ取ります。

「ぼく,いつか,日の入りを四十四度も見たっけ」
 そして,すこしたって,あなたは,また,こうもいいましたね。
「だって・・・ かなしいときって,入り日がすきになるものだろ・・・」
「一日に四十四度も入り日をながめるなんて,あんたは,ずいぶんかなしかったんだね?」
 しかし,王子さまは,なんともいいませんでした。

(37ページから抜粋)

あらすじ4 五日目

やはりヒツジのおかげで
星の王子さまがかかえる秘密は
どうやら
「トゲのある花」に関係しているらしい
ということが明らかになってきます。

王子さまは
ヒツジが小さい木(バオバブの若木など)
を食べてくれるのは大歓迎なのですが
ついでに「トゲのある花」も
食べてしまうのではないかと
気がきではありません。
そこでぼくに
「トゲはいったい何の役に立つのか」と
尋ねます。

しかし

飛行機の修理に余念のないぼくは
「なんの役にもたちゃあしないよ。花は
いじわるしたいからトゲをつけているんだ」
といい加減な答えを言ったり

「それはうそだ、花はむじゃきなんだ」
と反論されると

「そうさ、でたらめに返事をしたんだ。
とてもだいじなことが
頭にひっかかっているんでね」

と、ついつい口を滑らせてしまいます。

「花が,なぜ,さんざ苦労して,なんの役にもたたないトゲをつくるのか,そのわけを知ろうというのが、だいじなことじゃないっていうのかい? 花がヒツジにくわれることなんか,たいしたことじゃないっていうの?

(中略)

ヒツジが花をくうのは,その人の星という星が,とつぜん消えてなくなるようなものなんだけど,それもきみは,たいしたことじゃないっていうんだ」
 王子さまは,それきり,なにもいえませんでした。そして,にわかに,わっと泣きだしてしまいました。

(40~42ページから抜粋)

ぼくは、金槌もボルトも、喉の乾きさえも
放り出し、王子さまをしっかりと抱いて
揺すりながら
この星にたった一人でやってきた少年を
なんとかして慰めようと試みるのでした。

あらすじ5 八日目

最後の一しずくしかない水を
飲み終えたぼくは
「のどがかわいて死にそうだ」と
星の王子さまに訴えますが、王子さまは
「死にそうになっても、友だちがいるというのはいいものだ。ぼくはキツネと友だちになれてうれしいよ」
などと言うばかりで
本気で取り合ってくれようとはしません。

しかし、ようやく

ぼくの心のうちを思いやった王子さまは
井戸を探すために歩き出すのでした。

・・・・・・・・・・・・

けれども、砂漠の真ん中で
行き当たりばったり井戸を探すことほど
ばかげたことはありません。
すっかりくたびれてしまった二人は
砂の上に腰をおろしました。

しばらく黙っていたあとで王子さまは
こんなふうに話し始めるのです。

「砂漠が美しいのは,どこかに井戸をかくしているからだよ・・・」と,王子さまがいいました。

(中略)

「そうだよ,家でも星でも砂漠でも,その美しいところは,目に見えないのさ」と,ぼくは王子さまにいいました。
「うれしいな,きみが,ぼくのキツネとおんなじことをいうんだから」と,王子さまがいいました。

(109~110ページから抜粋)

やがて、疲れ果て眠りかけた王子さまを
ぼくは両腕でかかえながら
ふたたび井戸を求めて歩き始めます。

夜明け前の砂漠

ぼくには、この地球上に
王子さま以上に壊れやすいものなど
存在しないのではないかとさえ
感じられてきます。

〈この王子さまの寝顔を見ると,ぼくは涙の出るほどうれしいんだが,それも,この王子さまが,一輪の花をいつまでも忘れずにいるからなんだ。バラの花のすがたが、ねむっているあいだにも,ランプの灯のようにこの王子さまの心の中に光っているからなんだ・・・〉

(110~111ページから抜粋)

あらすじ6 夜が明けるころ(九日目)

そんなことを考えながら歩き続けた
ぼくは
夜が明けるころに
とうとう井戸を発見したのでした。

 

その井戸から汲み上げた水の
何とおいかったことでしょう。

 

王子さまは目をつむったまま
ごくこくと、まるで
お祝いの日のご馳走を食べるみたいに
その水を飲み干すのでした。

「きみの住んでいるとこの人たちったら,同じ一つの庭で,バラの花を五千も作ってるけど,・・・じぶんたちがなにがほしいのか,わからずにいるんだ」と,王子さまがいいました。
「うん,わからずにいる・・・」と,ぼくは答えました。
「だけど,さがしているものは,たった一つのバラの花のなかにだって,すこしの水にだって,あるんだがなあ・・・」
「そうだとも」と,ぼくは答えました。
 すると,王子さまが,またつづけていいました。
「だけど,目では,なにも見えないよ。心でさがさないとね」

(114ページから抜粋)

水を飲んで元気になったぼくは
再び飛行機のところへ戻り
修理を続けなければなりません。

その別れ際に王子さまは
ぼくに向かって
「あしたは、自分がこの地球におりてきて、ちょうど一年目の記念日なんだ」
と打ち明けます。
ぼくは、なんだか急に悲しくなりますが
王子さまは何を聞いても
はっきりとは答えてくれません。

この場所で
また明日の夕方に会う約束をして
二人は別れます。

あらすじ7 あくる日の夕方(十日目)

星の王子さまとの約束どおりに
ぼくが昨日の場所へとやって来ると
なんと王子さまは
ヘビと話しをしています。
しかもそのヘビときたら
三十秒の間にひとの命を断ち切るという
黄色い毒蛇でした。

ぼくの胸の中を
冷たい戦慄が走り抜けます。

おまけに王子さまは
飛行機の故障が直ったことを
なぜだか知っていたのです。

そうして、ぼくに向かって
「ぼくも今日、うちに帰るよ」と
告げます。
でも、その旅は
とても過酷な旅になるかもしれない
ということも・・・

いっぱいあるビー玉の中のひとつのビー玉

ぼくは
「君の笑い声を聞くのが好きだ」
と何度も言いながら
王子さまを引き止めようと試みます。
けれども-

王子さまは,また笑いました。が,やがてまた,まじめな顔になっていいました。
「今夜はね,やってきちゃいけないよ」
「ぼく,きみのそば,はなれないよ」
「ぼく,病気になってるような顔しそうだよ・・・なんだか、生きてないような顔しそうだよ。うん、そうなんだ。だから,そんなようす,見にきたってしょうがないじゃないか・・・」
「ぼく,きみのそばを,はなれないよ」
 そういっても王子さまは,心配そうな顔をしています。
「ぼく,こんなこというの・・・ヘビのこともあるからだよ。きみにかみついちゃいけないからさ・・・。ヘビのやつ,いじわるなんだから。おもしろがって,かみつくかもしれないんだよ・・・」
「ぼく,きみのそばを,はなれないよ」

(125ページから抜粋)

ぼくの願いもむなしく
王子さまの足首のそばで
黄色い光がキラッと光った瞬間に
王子さまは
一本の木が倒れでもするように
しずかに倒れたのでした。

 

「ぼくはあの花にしてやらなくちゃならないことがある。ほんとに弱い花なんだ。ほんとにむじゃきな花なんだ。身のまもりといったら、四つのちっぽけなトゲしか持っていない花なんだよ」

 

星の王子さまが
最後に残したメッセージを
ぼくは
いつまでも忘れることができません。

そうして、ふと
王子さまに書いて渡したヒツジの口輪に
ひもをつけてやるのを忘れていたことに
気がついたのでした。

ひょっとしたら
あのトゲのある花は
もう
ひつじに食べられてしまったかも
しれません。

いいえ、あの王子さまのことですから
きっと
懸命に花を守っていることでしょう。

ぼくの空想には終わりがありません。
王子さまがそうしたように
一本の花が食べられてしまうかどうかを
真剣に考えるということが
世界を変えるくらいに
大切なことなのだということを
ぼくは知っているからです。

おわりに

ぼくと星の王子さまのエピソードで
綴った物語の〈あらすじ〉
いかがでしたでしょうか?

『星の王子さま』というお話しから
いろいろな逸話を取り除いていくと
とてもシンプルなストーリーが
浮かびあがってきました。

星の王子さまが
たった一本の花を
どれだけ愛おしく思っていたか
そして
飛行機乗りのぼくが
たった一人の王子さまを
いかに愛しく思っていたか
ということに
改めて気づくことができました。

 

この『星の王子さま』という物語は
私たちに何を伝えているのでしょうか?

・・・・・・・・・

そうですね
そのとおりです
あなたのおっしゃるとおりです。

それは
目で見ることはできません。
心を使って
じっと見つめる必要があるんですね。

 

ひつじかいはこれからも
この物語を
心の目で
読み続けていきたいと思っています。

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