疲れた夜は 絵本『おやすみ、くまくん』に癒やされて・・

窓から外を見るくまくん 絵本おすすめの1冊

こんにちは、もりのひつじかいです。

絵本に出てくる〈くま〉といえば
『3びきのくま』(福音館書店)の
ミハイル・イワノビッチを
忘れることができません。


〈くま〉とは
本来はおそろしいもの!


それをストレートに教えてくれる
『3びきのくま』は
数ある「くま絵本」のなかでも
とても重要な位置を占めています。


〈くま〉に限らず
野生の動物とは本来は獰猛ですね。


それは
たしかにそのとおりなのですが
それでも、ひつじかいは
絵本のなかの〈くま〉に
やさしさを求めたくなります。

今日は
そんな数ある「くま絵本」のなかから
ひつじかいお気に入りの1冊を
ご紹介させてください。

絵本『おやすみ、くまくん』の表紙

『おやすみ、くまくん』
クヴィント・ブッフホルツ作/
石川素子訳(徳間書店・1994)


この絵本は
もちろん子どもたちのために
描かれてたものですが
癒やしの力が半端ではないのです。

もしかしたら大人のあなたにこそ
ふさわしい絵本なのかもしれません。

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『おやすみ、くまくん』に癒やされて・・

この絵本『おやすみ、くまくん』は
長男のために買い求めました。

何年かして娘が生まれ
絵本はいつしか
娘の枕もとへ。

そうして
何年かして娘は絵本を卒業し
『おやすみ、くまくん』は
再びひつじかいの膝へ
還ってきたのです。

おかえり、くまくん。


ではその
ひつじかいのもとヘと帰還した
くまくんの世界を訪ねてみましょう。

おや!

絵本を開くと
見返しの、左上のはしに
赤い風船が飛んでいるのが見えますよ。
よく見ると
その風船には何か
ひもでゆわえてあるみたいです。


あの
これはなんですか?

それは-

それはページの途中で
明かされることになっています。
だから、まだここでは
内緒にしておきましょう。

物語の主人公はぬいぐるみ。

同じぬいぐるみでも
プーさんのように
ハチミツをほおばったりはしません。
こちらのくまくんはとても物静か。

夜になりました。
おやすみ、くまくん。

あれれ?

くまくんはお目々をぱっちり開けて
夜の帳(とばり)を見つめています。


ご主人さま(少年)は
すぐとなりで
ふかい眠りにおちていますが
くまくんはまだ
ぜんぜん眠たくないのです。

あまり退屈なので
くまくんは
お外を覗いてみることにしました。
本を何冊も何冊も重ねて
窓から様子をうかがいます。

するとそこには
月明かりに照らされた
メルヘンチックな世界が
夢のように広がっています。

月明かりに浮かぶ小舟と水鳥たち

すぐそばをゆったり流れる川では
カモたちが最後のひと泳ぎをしています。

となりの家のローゼおばあちゃんは
ソファーに座ったまま
いねむりをしているみたい。

森の近くの原っぱには
昼間子どもたちが作ったかかしが
ぼんやり浮かび上がって見えています。

そうして
となり村には
なんとサーカスが来ているらしい!

でも
今日のサーカスはもう終わり。
ピエロが小象のために
バイオリンで子守唄を弾いています。

夜もふけるころ
小さな灯りを燈して
船が川をくだってゆきます。

そうして・・

こんな夜更けに
手紙をつけた赤い風船が
しずかに舞い降りてきました・・

 

こんなふうに
ゆっくりゆっくりページを繰っていくと
こころはいつしか月明かりのなかにいて
くまくんと同じような目線で
まわりを見つめている自分に
気づくのです。

癒やされている自分に
気づくのです。

この静けさはどこからくるの?

この絵本の魅力は
やはり絵の美しさにあるのでしょう。
絵を見るだけでも心が洗われます。

本当はそれだけでいいのでしょうが
ひつじかいはこの静けさが
いったいどこからやってくるのか
解き明かしてみたくなります。

いろいろと考えてみましたが
どうやらその秘密は
くまくんの「目」にあるようです。

くまくんはぬいぐるみですから
その目はクリスタルアイ!
とてもつぶらなひとみです。
かなりリアルに描かれています。

その目だけを見ると
くまくんがぬいぐるみであることは
誰の目にもあきらかです。

でも・・

その目がリアルであればあるほど
くまくんは
夜の静寂(しじま)のなかで
不思議な生命力をもち始めるのです。

動かないはずのくまくんが
動かないことで
かえって動きを表現し始めるのです。

このアンビバレントなスタンス!

月明かりに照らされたお外を
熱心に見つめるくまくんの顔が
そして「目」が
ガラス窓に写っています。
クリスタルアイが写っています。
命を吹きこまれたくまくんが
写っているのです。

窓から外を見るくまくん

くまくんってひょっとしたら
子どもだったころのわたしOrあなた
なのかもしれません。

お外の
全貌をまだ知ってはいない
子どもだったころの
あなたOrわたしなのかも
しれません。

 

こんなふうに
いくばくかの癒やしのときを過ごし
満ち足りて奥付を開くと

「この ふうせんを ひろってくれた
・・・・・・ちゃんへ」

の文字の下に

白い封筒が糊づけされていて
その中には
なんと
お手紙が・・・。

そのお手紙には-

絵本についてるお手紙

いやいや
ここで語るのはやめておきましょう。
夢は夢のままで
そうっとしておいてあげましょう。

どうしても知りたいという
あなたは
実際に手に取って開いてみてください。
ね。

では
おやすみ、くまくん。


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