へなそうるってエルマーの竜のこと?永遠に光り輝く子どもの時間

こんにちは、もりのひつじかいです。

 

いきなり、聞いちゃいますよ!

へなそうるってなにもの?



え?
恐竜?
かば?
空飛ぶ竜?
→エルマーといっしょに冒険をした?

 

え、ちがう?
やっぱりわかんない?
ただのへんないきもの?

 

そ、そうですよね・・

へなそうるって
やっぱり
へんないきものですよね。

 

でも、もしかしたら
へなそうるのことは
あれこれ詮索しては
いけないのかもしれませんね。

だって
へなそうるはへなそうるだから
それいがいのなにものでも
ないから・・。

 

 

ということで今日は
子どもたちに根強い人気を誇る
永遠のファンタジー

『もりのへなそうる』表紙

『もりのへなそうる』

わたなべ しげお・さく
やまわき ゆりこ・え
(福音館書店/1971年)

を取りあげてみたいと思います。

 

大人の「ぎもん」は通用しない!

このお話しは
森にあそびに行った幼い二人の兄弟が
「いきなり」
巨大な縞模様の卵と遭遇するところから
物語が展開しはじめます。

 

なぜこんなふつーの森に縞模様の卵が?
しかもこ~んなに大きなやつが!
どんないきものが産んだのかな?
その子のママはどこにいるの?

 

絵本のストーリーを書いていると
ついついこんなところに
気がまわってしまいます。

 

しかし子どもは
そんな大人の「ぎもん」にはお構いなしに
ずんずんず~んと
物語の中へと入り込んでいきます。

 

へなそうるは自分が誰かを知らない。

へなそうるは「おにぎり」が大好き

へなそうるは自分のことを「ぼか、」
という。

へなそうるは夕方になるまで
いっしょにいっぱいあそんでくれる。

へなそうるはいつだってやさしい。

 

もうそれだけで
子どもたちはへなそうるに夢中です。

 

へなそうるは
大人の「ぎもん」が届かないところで
「ぼか、おにぎりなんて
 二つしかたべたことないな」
なんていうだけなのです。

 

こんなのどかでやさしいいきものが
今までいったい
どこに隠れていたのでしょうか?

 

そうですね
この『もりのへなそうる』という
ファンタジーは

いってみれば
あっというまに過ぎ去ってしまう
かげろうのような〈子どもの時間〉を
スローモーションで撮影した
奇跡のような物語なのです。

 

作者の〈わたなべしげお〉さんてどんなひと?

『もりのへなそうる』の魅力について
さらに掘り下げてみたいと思いますが
その前に
このファンタジーの作者である
〈わたなべしげお〉さんというひとが
どんなひとなのか
確認しておきたいと思います。

 

〈わたなべしげお〉さんは
渡辺茂男と書きます。

 

若いころは
ニューヨークの公立図書館で働いていた
という、ユニークな経歴の持ち主です。

帰国して大学の教授になり
絵本のストーリーや童話
翻訳ものなどを数多く手がけました。

 

ひつじかいの息子も大好きだった絵本
『とらっくとらっくとらっく』や
『しょうぼうじどうしゃじぷた』
の作者といえば
あ!と思い出すひとも
多いのではないでしょうか。

 

小さな消防自動車じぷたの大活躍は
何十年たっても忘れられません。

 

わたなべさんはこのほかにも
『エルマーのぼうけん』
(ルース・スタイルス・ガネット著/米)
という
あの有名すぎるファンタジーを
翻訳されていますよね。

 

そうか!
どうりで!
と気がついたひとは「びんかん」です。

へなそうるって
エルマーと冒険に出かけた竜を
なんとなく彷彿させるところが
あるように思います。

 

でも
エルマーの竜は飛べますが
へなそうるは
「たいへんだ!ぼかこわい!」といって
走って逃げるだけですけども。(笑)


わたなべさんは
エルマーの竜を
わたなべさん流に解釈をして
日本の森に
登場させたかったのだと思います。

 

だから
「いきなり」卵が落ちていたのも
それ以外のやり方では
エルマーの竜を連れてくる方法が
思いつかなかったのだろうと思うのです。

 

さいわいなことに
そのおかげでひつじかいたちは
へなそうるに会うことができたんですね。
わたなべさんに感謝しなくては
いけませんよね。

 

ちなみに
エルマーシリーズは3冊出版されていて
いずれも
わたなべさんが翻訳をされています。

 

『エルマーのぼうけん』
(福音館書店/1963年)

『エルマーとりゅう』
(福音館書店/1964年)

『エルマーと16ぴきのりゅう』
(福音館書店/1965年)

 

と翻訳は続き
『もりのへなそうる』
が1971年の初版です。

 

『エルマーのぼうけん』から8年
「16ぴきのりゅう」から6年
これだけの時間をかけて
へなそうるは誕生したわけです。

 

『もりのへなそうる』のもう一つの魅力

このファンタジーのもう一つの魅力が
幼い2人の兄弟にあることは
まちがいないでしょう。

とても仲がいい兄弟

この兄弟はとても仲がよく
弟はお兄ちゃんのまねばかりしています。
そして弟はまだ小さいので
口がよくまわりません。
「たまご」のことを「たがも」と言ったり
「ぴすとる」のことを「しょっぴる」
と言ってしまったりします。

 

兄も何度か正そうとしますが
それでも、なかなかうまくいきません。
そういうときでもこのお兄ちゃんは
弟の「言い間違い」を
全部やさしく受け止めてくれるんですね。

ここに
ほのぼのとした
やさしい愛を感じてしまうのは
ひつじかいだけでしょうか。

 

しかもその「言い間違い」を
あのへなそうるまで
何の「ぎもん」も抱かず
何の訂正もせずに
すべて受け止めてくれるのです。

 

このおおらかな「寛容」。
やすらぎ。
子どもたちのことは全部肯定してあげたい
というわたなべさんのポリシーが
こんなところに、はっきりと
現れているのではないでしょうか。

 

だから
そういう子どもたちのママも
とても魅力的に描かれていますよね。

 

「たんけんにいく」
という子どもたちにせがまれ
「はいはい」と言って
イチゴに蜂蜜をかけたサンドイッチや
焼きタラコをほぐしてご飯に混ぜて
おにぎりを作ってくれたりします。

 

幸福な食べ物のシーンは
幸福な〈子どもの時間〉に
ダイレクトに結びついています。
それはやがて幸福な思い出となり
このファンタジーの底流を
やさしく流れ続けていくのです。

 

・・・・・・・

 

ひつじかいがお届けした
『もりのへなそうる』のレビュー
いかがでしたでしょうか?

 

あなたも
このファンタジーを
もう一回
読みたくなったんじゃありませんか?

 

このファンタジーは
もちろん大人が読んだっていいんです。
〈子どもの時間〉を知っている
そういう大人が読むことで
あの永遠の時間が
より鮮やかに見えてくるはずですから。

タイトルとURLをコピーしました