コロナ時代の必読書!『ペスト』(カミュ)の主題とは?

ペストとかコロナでロックダウンされた街 ポストコロナ!
ロックダウン・・

こんにちは、もりのひつじかいです。

新型コロナウイルスが
世界にパンデミックを
巻き起こしています。

あなたは
この突然生まれ落ちた鬼子
(新型コロナウイルス)に
いかに対応されていらっしゃいますか?
そしてこれから、この招かれざる子供と
いかに共生していくべきか
腹をくくられていますか?


アルベール・カミュの小説
『ペスト』(宮崎嶺雄訳/新潮文庫)には
まるで現代を再現したような
閉塞的で不条理な状況が描かれています。


今回は
そんな『ペスト』をひもときながら
本書の主題に迫ってみたいと思います。

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『ペスト』を彷彿とさせるヨーロッパの各都市

ノーベル賞作家、カミュの『ペスト』は
約70年前に発表された長編小説です。

アルジェリアのオランという都市に
ペストが蔓延したという想定のもと
隔離された都市に生きる市民らの
病魔への抵抗(レジスタンス)と連帯を
寓意的に描いています。

小説が構想するシチュエーションは
現在のミラノやバルセロナをはじめ
ヨーロッパ主要都市の状況に重なります。

小説では
黒死病とも呼ばれ怖れられた疫病の
突然の発生から終息までを
主人公と目される青年医師や新聞記者
その他の同胞たちの目を通して
克明に描出しています。

新型コロナとペスト(黒死病)
という違いはありますが
いずれも動物からヒトへの感染症であり
ヒトからヒトへ感染が拡大していく
という展開は酷似しています。

また

日に200人、300人が亡くなるという
シーンも
北部イタリアの医療崩壊現場に
オーバーラップします。

ロックダウンで立ち入り禁止の公園

小説では
10ヶ月にも及ぶロックダウンの末に
オランは解放されます。
多くの犠牲のうえに
苦い終息がやってくるのです。

最終的には
病魔との戦いに勝利した青年医師に
カミュは次のように言わせています。

今度のことは、ヒロイズムなどという
問題じゃないんです。
これは誠実さの問題なんです。
こんな考え方はあるいは笑われるかも
しれませんが
しかしペストと戦う唯一の方法は
誠実さということです。


では、その「誠実さとは何か」
と問われた医師は
「自分の職務を果たすことだ」
と単刀直入に答えています。

また
当初はオランから
逃げ出すことばかりを考えていた
若き新聞記者には

「自分一人が幸福になるということは
 恥ずべきことかもしれない」

とも言わせています。

カミュが『ペスト』で言わんとしたことを
要約するならば-

突然の病魔蔓延という不条理を前に
人間が取りうる最善の態度とは
「ひたすら誠実であること」
「自己の職責を果たすこと」

そして

「自分一人の幸福などあり得ない」
という事実と真摯に向き合うこと」

それが

病魔(運命)への静かだが
確固たる抵抗(レジスタンス)と成り得る

ということではないかと考えます。

『ペスト』はこのところ
通常期の13倍もの売上を示している
そうです。

日本は幸いなことに現時点では
新型ロナによる医療崩壊という
最悪の事態は免れていますが
中国やイタリアで起きている現実を
対岸の火事としないためにも
『ペスト』を読む意義は
大きなものがあると感じます。

今日誰でも自分のうちにペストを持っている?

ところで
『ペスト』登場するある青年が
こんなことを言っています。

誰でもめいめい自分のうちに
ペストをもっているんだ。
なぜかといえば
誰一人、まったくこの世に誰一人
その病毒を
免れているものはないからだ。


「ペスト」を
「新型コロナ」と置き換えれば
いまのわたしたちが置かれている
この不条理な状況にぴったり合致します。

なぜなら
新型コロナウイルスとは
SARS-COV-2という
正式名称からも明らかなとおり
サーズウイルスの変異バージョンであり
そのサーズウイルスの兄弟ともいえる
MERS-COV(マーズ・コロナ)は
未だに消滅することなく
間欠的な周期で
今日も感染を繰り返しているからです。

世界で最も権威があるとされる医学誌
「ニューイングランド・ジャーナル
 オブ・メディシン」は
飛沫感染、接触感染に注意!
と呼びかけてきた新型コロナウイルスが
特定の条件のもとでは
空気感染に近似した
空気媒介感染を引き起こす可能性がある
と指摘しました。

新型コロナウイルスはエアロゾル化後
空気中で3時間は生存するというのです。

ちなみに
銅製品の上では4時間
ダンボール上で24時間
プラスチックやステンレスの上では
なんと2~3日も生き延びるのだとか。

2020年3月14日(土)に放映された
「新・情報7daysニュースキャスタ-」
という番組に出演された池谷裕二氏
(東京大学薬学部教授・脳研究者)は
新型コロナウイルスとの
今後の付き合い方について質問され
概ね次のようにコメントしました。

「新型コロナウイルスも将来的には
 インフルエンザのような
 季節性の感染症になっていくでしょう。
 しかしマーズの例からも分かるとおり
 マーズよりも感染力の強い新型を
 駆逐することは不可能だと思われます。

 そこで大事になってくるのが
 医療崩壊を起こさない程度に抑制し
 ゆるやかに感染を広めていくことです」

さらに続けて

「最も大切なことは
〈人から伝染らないこと〉ではなく
〈人に伝染さない!〉こと。
一人ひとりがこうした態度を貫くことで
パンデミックを
回避することができるのです」

とも・・・。

マスク

池谷教授のこのお話しを聞いて
ひつじかいの不安は氷塊しました。

アメリカの専門家も指摘するとおり
またカミュの『ペスト』が示唆するとおり
新型コロナウイルスは
全世界の7割の人間が罹患する感染症と
予測されています。

そうであるとするならば
罹らないことにきゅうきゅうとし
なりふり構わず
ドラッグストアに駆け込むよりも
「人に伝染さないこと」を心がける
そういう〈ひたすら誠実である〉態度を
貫きとおすことで
この不条理な病魔に
粛々と立ち向かって(レジストして)
いけるのではないかと考えます。

そのためにもー

☆日ごろから免疫力を高める

☆基礎疾患を持たぬよう養生する

という心意気を持つことが大事ですね。

何よりも大切なことは〈共感〉し〈連帯〉すること

突然生誕した
この不条理な鬼子(新型コロナ)は
グローバル社会の盲点でもある
グローバル経済に
大きな打撃を与え続けています。

国境を固く閉ざしたEU連合に
理想と現実のギャップを観るのは
ひつじかいだけではないでしょう。

経済の打撃は市民生活を直撃します。
しかし人類が生存する限り
経済はやがて復興することでしょう。

ところが
今回のこの天災とも呼べる災難は
消し去ることのできない爪痕を
わたしたちの心に遺しています。

1枚のマスク
1巻のトイレットペーパーのために
人々はつかみ合い
ののしりあい
唾を飛ばしあいました。

マスク不足による消費者の怒りが
小売店の店員らに向けられています。
理不尽なカスタマーハラスメント。
「コロナより人の方が怖い!」
と心を病む店員も出るしまつ。

そのマスクについても
転売が横行しました。
「単価100円&送料550,000円」
などという仰天通販商品が
堂堂と掲載されました。

人種差別が先鋭化しました。

グローバル社会における
「生命線」とさえいえる情報が
隠蔽され
捏造された可能性さえあります。

デマやフェイクニュースが
世界を駆け巡っています。

ある国の大統領に至っては
新薬(ワクチン)の製造権を
独占しようと画策したとの疑惑が
世界に衝撃を与えています。

この大統領には
カミュを読むよう
勧めなければならないでしょう。

グローバル社会においては
「自分ひとりが幸福になることは
 恥ずべきこと」だということを
自覚してもらう必要があるでしょう。

そんな一方で
ヒューマンな対応に
心が暖められたこともありました。

中国の医療関係者の献身的な働きは
大きな救いでもありました。

そしてイタリアをはじめとする
世界の各地で
「自分の職務を果たし」続けている
多くの関係者が存在することに
心からの敬意と
エールを贈りたいと思います。

トマト

また外出が禁止されたイタリアでは
市民同士が
互いに互いを励ましあっています。

カミュの『ペスト』は説きます。
姿の見えぬ病魔に立ち向かうためには
誠実であること
各自の職務を果たすこと
自分一人のそれでなく
他者の幸福を考えること
そうして
なによりも
〈共感〉し〈連帯する〉ことだと。

〈共感〉と〈連帯〉とは
今日のグローバル社会における
究極の指標ではないかと
ひつじかいは考えています。


ということで、ここまで
コロナ時代の必読書
カミュの『ペスト』の主題について
読み解いてきました。


それはとりも直さず
グローバル社会のあり方について
考えることでもあることが分かりました。


新型コロナウイルスという
現代のペストに
あなたはどのように立ち向かわれますか?

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