ねこが看取った終活絵本『さようならエルマおばあさん』

こんにちは、もりのひつじかいです。

 

今日は
〈終活〉を真正面から取り上げた
希少な写真絵本をレビューします。

 

さよならエルマ

本のアイコン『さよならエルマおばあさん』
大塚敦子写真・文/小学館/2000・初版

 

エルマおばあさんの飼い猫
スターキティ
(オス8歳)が語る
彼女の「最期」の1年間。
そのゆるぎない決意と他者への愛に
〈終活〉の真の意味を教えられる
意味深いドキュメンタリーです。

 

あらすじ

物語の舞台となるのは
アメリカ・北西海岸の小さな町ヴォ-ン。

作者の大塚さんはそこで
一人のおばあさんと知り合います。

 

おばあさんの名はエルマ。

 

おばあさんと大塚さんは
直ぐに意気投合し
やがて大塚さんは彼女から
「あなたは13人目の孫」
と呼ばれるようになります。

ところがそんなおばあさんに
大きな転機がやってきました。
かかりつけのお医者さんから
血液のガンにかかっていると
告げられるのです。

 

余命は1年余りと判断した
エルマおばあさんの
旅立ちの準備(終活)が
このときから始まります。

 

ふだんと変わらない生活を続けながら
最期のその日まで
楽しく生きようと決意するおばあさん。

 

後に残していくものたちに伝えるために
大草原時代の家族の歴史を書き始めます。

延命治療を拒否する書類にサインします。

外出のときはていねいにお化粧もし
日曜日には老人クラブの朝食会に出かけ
いつものように大好きな庭の手入れをし
スターキティとじゃれ合うのでした。

 

すこしずつ、すこしずつ
おばあさんは弱っていきます。

 

ホスピスをお願いします。

 

そうしてある日おばあさんは
「13人目の孫」に向かって
静かに語りだしたのでした。

 

人は死んで別の世界へ行き、そこで
自分の人生を振り返るというけれど
わたしは今
それを眠りの中でやっているみたい。
バラバラだったジグソ―パズルの断片が
全部つなぎ合わされて
大きな1枚の絵になったのよ。
それをじっと見ていたら
これまでの人生で分からなかったことが
やっと理解できるようになったわ・・・。

(本書56頁・著者あとがきから抜粋)

 

やがておばあさんは
自分の旅立つ日を自分で決めたと
家族に告げます。

 

鼻からの出血が止まらなくなり
でも、このまま家に留まると宣言をし

 

墓地

 

そしてついに
さよならのときが・・・

 

 

エルマおばあさんのかたわらには
このときも
彼が
スターキティが
しずかによりそっていました。

 

スターキティからのメッセージ

おばあさんの愛猫スターキティが
このレビューを読んでくれている
あなたに
ぜひ
伝えて欲しいことがあるというので
メッセージを寄せてもらいました。

それをこれからお伝えしますので
どうか最後までお目通しいただければ
さいわいです。

 

ねこ

あなたへ

 

ぼくは、ねこのスターキティといいます。
キティといっても
あのかわいいキティちゃんではないので
まちがえないでくださいね。

 

ぼくのはなしというのは
ほかでもありません。
ぼくがだいすきだった
エルマおばあさんのことについてです。

おばさんは
もうずっと、ずう~っとまえに
あのよにかえっていきました。

このことの、くわしいいきさつは
おばあさんから
「あなたはわたしのまごよ」
といわれたおおつかさんが
えほんにかいてくれましたので
きょうみのあるひとは
そちらをてにとってみてください。

 

さて
きょう、ぼくがあなたに
どうしてもつたえておきたかったのは
ぼくとエルマおばあさんとの
こころの〈こうりゅう〉についてです。

ぼくはごらんのとり、ねこですので
ざんねんながら
にんげんのことばはわかりません。
じもよめないし、かけません。

でもぼくらには
くらやみのなかでもみえる〈め〉と
かすかなものおとでもききとれる
レーダーみたいな〈みみ〉があります。
それから
どんなおりょうりもかぎわけられる
〈はな〉だってあるんです。

 

ぼくはこの〈め〉と〈みみ〉と〈はな〉
をつかって
おばあさんとおはなしをしました。
たくさん、たくさんおはなししました。

それでもうまくいかないときは
「すりすり」や「カリカリ」や
ねこなでごえまでつかって
いっぱい、いっぱいおはなししました。

 

だからぼくはね
おばあさんがびょうきだということも
もうすぐここから
さよならしてしまうということも
しっていました・・。

それなのにおばあさんは
すこしもかなしんではいない
ということも
だれよりも、だれよりも、だれよりも
よ~くしっていたんです。

 

ぼくとエルマおばあさんとは
こころでふれあっていたんです。

 

 

『さよならエルマおばあさん』は
そんなおばあさんとぼくとでつくった
おもいでの絵本です。

 

あ、いいえ
じっさいにつくったのは
〈まご〉のおおつかさんです。
おばあさんに
ぼくらのしゃしんをとることを
みとめてもらった
〈まご〉のおおつかさんです。

でもぼくは
ぼくもこの絵本をつくった
ひとり?(いっぴき?)なんだよって
あなたにいいたくて
ひつじかいさんにこの絵本のレビューを
おねがいをしたのです。

 

エルマおばあさんが
どんなふうにたびだっていったのか
そしてぼくがそれを
どんなふうにみつめていたのか
あなたにしってもらえたら
どんなにうれしいかしれません。

 

猫

さよなら
エルマおばあさん。
またきっといつか
どこかで
おあいしましょうね。

 

ひつじかいからも一言

スターキティからのメッセージ
どうでしたか?

 

彼も言っていましたが
動物(ペット)にとって〈はな〉
つまり嗅覚というのは
とても重要な感覚だといわれています。
ヒトの心の状態を
「におい」で嗅ぎ分けるとも・・。

 

ひつじかいは物心がついたときから
猫と暮らしてきましたので
彼らがいかに優れた能力の持ち主であるか
ということは
スターキティに教えられるまでもなく
承知していました。

 

ふつうは見送ることが多いペットに
見送られながら旅立ったおばあさんは
きっと幸せだったにちがいありません。

 

さよなら、エルマおばあさん。
天国で
しあわせにお暮らしください。

 

 

飼い猫が語る終活絵本
『さよならエルマおばあさん』のレビュー
いががでしたでしょうか?

 

あの世への旅立ちの準備、終活
あなたには
まだまだ先のお話しかとは思いますが
こんな「店じまい」の方法もあるんだ
ということを
知っておいてもいいのかもしれません。

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