時間とは?『絵ときゾウの時間とネズミの時間』を要約すると・・

こんにちは、もりのひつじかいです。

 

今回の「大人の絵本を読む」は

ゾウの時間ネズミの時間の絵本

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『絵ときゾウの時間とネズミの時間』

(福音館書店/1993)

を取りあげてみたいと思います。

 

この絵本は
本川達雄先生(動物生理学)の
ユニークな著書『ゾウの時間ネズミの時間』
(中公新書/1992)を
子ども向けにリライトしたものです。

子ども向けですから
ずいぶん噛み砕いて書いてありますが
主題である【時間】の解釈については

「子どもには少し難しいかな」と

思いましたので
大人であるあなたに向けて
お話しをすすめていきますね。

 

『絵ときゾウの時間とネズミの時間』を要約すると-

動物(哺乳類)は
小さなネズミでも

ねずみの時間

大きなゾウでも

ゾウの時間

1kgあたりの体重で比較すると
一生の間に食べる食物の総量は
同じである。

(体重の増加と摂取する食物の総量
との間には、反比例の関係がある。)

→ということは、体が大きいものほど
少食!?ということ。
ネズミはわずか4日で、自分の体重と同じ
重さの食物を食べてしまうが
ゾウの場合は1か月以上もかかる。

活動する量(エネルギー量)も同じ。

そうして、心臓は両者とも
15億回打ったら止まる。

 

ネズミはゾウの数十分の一の時間しか
生きることができない。

 

でも、それって「かわいそう」なこと?

 

たしかに人間の時計で測れば
ネズミの寿命は短い。
しかし心拍数の総数が同じということは
ネズミは「ネズミ時間」のなかで
心拍数15億回分に相応する
満ち足りた人生(?)を送っている
のかもしれない。
当然ゾウも「ゾウ時間」のなかで
心拍数15億回分に相応する人生を
歩んでいるはず。

 

つまりゾウもネズミも
それぞれの内的な時間のなかで

ゾウとねずみ

おなじように充足していると推測できる。

 

ゾウやネズミだけではなく
あらゆる動物には
その動物に固有の時間が存在するわけで
動物生理学的観点から見た時間は
相対的であると言わざるを得ない。

 

少し長くなってしまいましたが
『絵ときゾウの時間とネズミの時間』
を要約すると、だいたい
こんなことが書いてあると思います。

 

つまり「時間」というのは一定ではないということ?

アインシュタインの特殊相対性理論は
ニュートン力学の「絶対時間」を否定し
時間は観測者によって伸び縮みすると
措定しています。

つまり相対的だと・・・

いまみてきたように、本川先生が
動物生理学の立場から導き出した結論も
時間は相対的であるというものです。

 

そういわれてみれば、ひつじかいも
子どものころは1年が長かったけれど
成長するに従い
だんだん1年が短く感じられるように
なってきました。

本川先生ではありませんが
生理学的に分析すれば
子どもの心拍数は
大人に比べればかなり多いはずですね。

つまり子どものときのひつじかいは
ゾウよりもネズミに近い(!)存在で
同じ1年でも
内的な充足度というものが
違って感じられたのかもしれません。
ネズミのようにくるくる活動しながら
少なくとも現在のひつじかいよりは
満ち足りていたのかもしれません。(笑)

 

こうやって考えてみると
時間というものが、なんだかとても
不確実なものに感じられてきます。
相対的だと言われれば
妙に納得してしまいますね。

 

ところが驚くべきことに
現代の物理学は

物理学

「時間は相対的」などという地点から
さらに先へ進んでいるようなのです。

 

あ~あ、せっかく
「絵ときゾウの時間とネズミの時間」を
要約したばかりだというのに!

 

なんだって!時間は存在しない?

イタリアの物理学者
カルロ・ロヴェッリは
一般相対性理論と量子力学を統一する
量子の重力理論のひとつである
「ループ量子重力理論」を展開する中で
時間というものは存在しないと
唱えています。

時間は存在しない

画像:Amazon通販サイトから転載

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『時間は存在しない』

カルロ・ロヴェッリ著/冨永星訳
NHK出版/2019

 

ロヴェッリは言います。
この世界には
客観的にとらえられる確実な空間や
確実な時間などというものは存在せず
わたしたちは誰もが、一人ひとりの
異なる時空間を生きているのだ

と・・・。

 

『ゾウの時間ネズミの時間』では
動物の種ごとに
個別の時間が存在するのではないかと
予測されていたものが
ロヴェッリの理論では、個体それぞれに
個別の時間が存在するのではないか
というレベルまで細分化されています。

 

ロヴェッリが主張するように
客観的にとらえられる確実な空間や
確実な時間というものが
世界(宇宙)に存在しないというのならば
ゾウにはゾウの時間が
ネズミにはネズミの時間があると主張する
本川先生の考えも
基本的に間違ってはいないということに
なるのではないでしょうか?

 

さらに

「成長するに従い、時間がどんどんと
短くなっていくように感じられる」

というひつじかいの内的時間も
「個体それぞれに存在する個別の時間」
として、認知されるのかもしれません。

 

『絵ときゾウの時間とネズミの時間』の
要約のお話しが
思いもかけない領域まで
スパークしてしまいました。
ひつじかいにとってはあっという間の
展開でしたが
もしかしたらあなたには
とても長く感じられたかもしれませんね。

 

「時間は存在しない」とは
なんとも不思議な理論です。
でも、仮にそうだとするならば
今流れているこの「とき」は

いったい何だというのでしょうか?

 

「ゾウの時間ネズミの時間」理論の唯一の例外

大切なことをひとつ付け加えておきます。

本川先生は
動物の体重と食物の総量・活動量などの
相関するデータから
「ゾウの時間ネズミの時間」理論を
構築しているわけですが
この理論に唯一当てはまない動物が
存在すると、正直に告白しています。
それが〈ナマケモノ〉です。

時間から自由なナマケモノ

この動物はあまりにも動きがスローで
すべての生理学的なデータが
同じサイズの動物の範疇にくくれない

のだとか・・

しかも寿命は、同じカテゴリーのそれの
なんと1.5倍もあるのです!

 

本川先生はこのナマケモノのことを
例外中の例外と言っていますが
それを先ほどの
ロヴェッリの理論に当てはめてみれば
どうでしょうか?

 

客観的にとらえられる確実な空間や
確実な時間などというものは存在せず
わたしたちは誰もが、一人ひとりの
異なる時空間を生きている。

 

例外中の例外とみなされている
ナマケモノも
「個別の時空間を生きている」
普遍的な存在ということに
なるのではないでしょうか。

 

さて
あなたにとっての「時間」とは
いかなるものでしょうか?

 

おそらくあなたも
単純には要約できないような
個別で独自の「時間」を
生きていらっしゃるのでは
ないでしょうか。

 

あなたが
恋人や家族、同僚や隣人と
「時間」が合わないというのも
もしかしたら
あなたのせいではないのかもしれません。

 

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