絵本で目にする〈わかち書き〉これってどんなルールがあるの?

わかち書きを検証した絵本 絵本づくりABC
わかち書きとは

こんにちは、もりのひつじかいです。

絵本を読んでいると
ほぼ例外なく採用されている
〈わかち書き〉。

普通の文章をどこで区切ればいいのか
絵本のストーリーを書き始めたばかりの
あなたには
戸惑いがあったりするかもしれません。

この
わかっているようでわからない
不思議なルール〈わかち書き〉には
どんな「きまり」があるのでしょうか?

今日はそんな疑問について
絵本出版社とのやり取りや
これまでに作品化された
いくつかの絵本を参照しながら
探っていきたいと思います。

スポンサーリンク

〈わかち書き〉を意識しながら絵本を読んでみると・・

考えてばかりいてもはじまりませんので
先達はどんなふうに対応してきたのか
まずは実際のテキストから
当たってみることにしましょう。

絵本の棚から
ランダムに数冊を選んできました。

『くつくつあるけ』表紙

くつくつ あるいた
ぱた
ぱた ぱた
さんぽに おでかけ
(『くつくつあるけ』/林明子
/福音館書店/1986)

「いたっ!」
こぶたの はなに、
とんぼが ぶつかったのです。

「うはっ!」
こぶたの あたまに、 
かえるが のっかったのです。

「ひゃっ!」
こぶたの しっぽに、
かめが かみついたのです。
(『どろんこ こぶた』
/アーノルド・ローベル作/岸田衿子訳
/文化出版局/1971)

あつい あつい なつのひ
きょうは ひとり。
おにいちゃんも いない。



シャン シャンと クマゼミ。
げんじの たにまで はしる。
(『なつのいちにち』/はたこうしろう
/偕成社/2004)

あるとき しろい こねこの しろちゃんは、
じぶんだけが まっしろなことに きがつきました。
「いやに なっちゃうな。どうして ぼくだけ しろいんだろう。おかあさんだって にいさんたちだって あんなに きれいな くろいけなのに」
『しろねこ しろちゃん』/森佐智子・文
/MAYA MAXX・絵/福音館書店/2002)



『11ぴきのねこどろんこ』表紙

「あ、ぬまから あがってきた」
「ひゃー、どろだらけ」
「わあっ」「わあっ」
きょうりゅうのこは ぶるん ぶるんと
やって、
どろみず はねとばして いって しまいました。
(『11ぴきのねこ どろんこ』
/馬場のぼる/こぐま社/1996)

おばあさんも おじいさんも
ちいさいゴリラが だいすきでした。
ちびちびが うまれたそのひから みんなは
このちびゴリラが だいすきでした。
(『ちびゴリラのちびちび』
/ルース・ボーンスタインさく
/いわたみみやく/ほるぷ出版/1978)

これらの作品を読んですぐに気がつくことは・・

〈わかち書き〉といっても、どうやら
厳格なルールがあるわけではなさそうだ
ということでしょうか。

たしかに
厳格なルールはないかもしれませんが
〈わかち書き〉の目安みたいなものは
あるみたいですね。
ひとまず書き出してみましょうか。

①文節で分かつ

②文節と連文節を併用して分かつ

③言葉(音)の切れるところで分かつ

④作者の内面のリズムで分かつ

①の文節で分かつやり方というのが
オーソドックスで分かりやすい方法かも
しれませんね。

例文に掲げた絵本では
岸田衿子さんが訳された
『どろんこ こぶた』がこれに該当します。

『どろんここぶた』表紙

こぶたの はなに、
とんぼが ぶつかったのです。

基本に忠実ですね。
「こぶた」「はな」「とんぼ」
という〈独立語〉に
「の」「に」「が」などの
〈付属語〉がくっついたところで
的確に分かたれています。

②についてはどうでしょうか?
『しろねこ しろちゃん』と
『ちびゴリラのちびちび』が
こちらに該当しそうです。

「~おかあさんだって にいさんたちだって あんなに きれいな くろいけなのに」

おばあさんも おじいさんも
ちいさいゴリラが だいすきでした。

これを分節で〈わかち書き〉すれば

「~おかあさんだって にいさん たち だって あんなに きれいな くろい け なのに」

おばあさんも おじいさんも
ちいさい ゴリラが だいすきでした。

となるはずですね。

後先になってしまいましたが
〈連文節〉というのは
〈独立語〉と〈独立語〉がくっついて
ひとつの〈独立語のような〉
はたらきをする文節のことです。

例文でいうと
「くろいけ」「ちいさいゴリラ」が
これに当たるでしょうか。

『なつのいちにち』表紙

③については
『なつのいちにち』と
『11ぴきのねこ どろんこ』
がここに該当しそうです。

シャン シャンと クマゼミ。

きょうりゅうのこは ぶるん ぶるんと
やって、

「シャン」「シャン」
「ぶるん」「ぶるん」
などの擬声語、擬態語を
〈わかち書き〉していますね。

ちなみに『11ぴきのねこ どろんこ』は
②にも該当しそうです。

最後の④は『くつくつあるけ』の

ぱた
ぱた ぱた

の部分です。
『ぱた』と書いてわざわざ行替えをして
『ぱた ぱた』となっています。
『ぱたぱた』ではないんです。
『ぱた ぱた』でなければ
作者のリズムに呼応しないのでしょう。
だからどうしても
『ぱた ぱた』
でなければならないのです。

こうやってみてくると
①の文節をベースに〈わかち書き〉を
組み立てておけば
いろいろと応用が可能のように思えます。

あとは・・
そうですね
作者の感性(フィーリング)に任せる
ということになるでしょうか。

絵本の出版社に聞いてみると・・

ひつじかいも最初のころは
文章を分かつ呼吸が飲み込めなくて
あれこれ迷った末に
出版社の担当者さんにも尋ねてみました。

すると意外なことに

(文節とか連文節とかあまり気にせずに)
大きなまとまりで区切ってもらって
いいですよ。

というものでした。

このコメントには
〈わかち書き〉については
最終的に出版社でチェックするので
作者はそんなことに振り回されず
中身で勝負をしてください。
という
言外の意味が込められているようでした。

なあんだ、そんな程度のものなのか・・


ひつじかいは急に気持ちが楽になって
あとはフィーリングでやっつけましたね。
その後特に修正も入らず
そのまま絵本になっちゃいました!(笑)

これはひつじかいの最初の絵本
『もりのしょうぼうだん』での経験です。
気になる人は次の記事をクリックして
本文の〈わかち書き〉を
確認してみてください。

原稿お見せしちゃいます!ひつじかい絵本ストーリーの書き方を公開

〈わかち書き〉って結局誰のためのものなの?

絵本の〈わかち書き〉というのは
日本独自のものなのでしょうか?

あいにくひつじかいの手元には
洋書の絵本では

『にじいろのさかな』表紙

『RAINBOW  FISH   AND   THE

 BIG   BLUE   WHALE』
(邦題『にじいろのさかなとおおくじら』)

しかありませんので
あまりうかつなことは言えませんが
少しだけ和・英の対比を
見ていただこうと思います。

そのうち,ぎざぎざひれの さかなが,
くじらが さかなたちを みて いるのに きがついた。
「なんで あいつは,あんな ふうに
ぼくらを みてるんだ?」
ぎざぎざは なかまに といかけた。

この一文
オリジナルの絵本ではこうです。

Before long, the fish with the jagged
fish noticed the whale watching them.
“why is he looking at us like that?”

いかがでしょうか?
ごく普通の英文です。

もちろん
言語の違いということもありますが
原著の作りからは
「わかち書こう!」的な意志は
全く伝わってきませんね。

それもそのはず
子どもが
この絵本を読めるようになる頃には
もう絵本を卒業しているわけですから
特に〈わかち書き〉に腐心する必要も
ないわけです。

ということは
日本の絵本だって同じことですよね?

年長さんで
絵本が読める子ども向けのものなら
〈わかち書き〉にも意味がありますが
もっぱら
お母さんの膝の上でお話しを聞いている
そんな幼児向けの絵本には
わざわざこんな配慮をする必要は
ないように感じられます。

それとも
まさにその点にこそ
深い意味があるのでしょうか?

たとえば
〈わかち書き〉になっていることで
読み聞かせるお母さんの心に
「子どもスイッチ」が点灯し
子どもと同じ目線で
その物語に入り込むことができる
とか・・・


ひつじかいの結論を言わせていただくと
絵本の〈わかち書き〉は
あなたのフィーリングで対応しましょう
ということになるでしょうか。


タイトルとURLをコピーしました