「コロナにはお湯が効く?」世界を駆け巡るフェイクニュース!

フェイクニュース 絵本なんでもファイル

こんにちは、もりのひつじかいです。

「新型コロナウイルスは熱に弱い。
だから〈お湯〉を飲めばいいらしい」
とは
インドのSNSで拡散した情報です。

たしか、かの国には
「コロナ予防には牛が効く!」
と信者にその尿の鯨飲を勧め
逮捕された教祖(グル)もいましたね。

コロナにはお湯!みたいな
他愛もないナンセンス
(しかし、世の中には
これを鵜呑みにした人々もいる)から
特定の商店や医療機関(日赤など)を
標的にした悪質なデマまで
フェイクニュースが
日々世界を駆け巡っています。

考えてみれば、はるか昔から
「フェイク」とよばれる〈贋作〉は
存在したわけですが
今日のフェイクニュースは
かつての「フェイク」とは
明らかに異質なものとなっています。

少し冷静に周りを見回すと
バーチャルリアリティなる手法が存在し
映画などでは市民権を得た感があります。
しかし、よくよく考えてみれば
これはこれで
フェイクの一形態かもしれないという
事実に突き当ります。

さらに突き詰めていくと
絵本をはじめ
フィンクションと呼ばれる〈創作〉全般
についても
ノンフィクションに対するフィクション
という位置づけの中では
フェイクに近い仲間なのかもしれません。

けれども
フェイクニュースと〈創作〉とでは
大きく異なるスキュームがあることも
また事実です。

そこで今回は
〈創作〉というフィクションを
対極に置きながら
「フェイクニュース」とは
如何なるものなのかということについて
掘り下げてみたいと思います。

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フェイクニュースがファクト(事実)を創り出す

2020年4月5日(日)に放送された
NHKスペシャル「デジタルVSリアル」
~第1回 フェイクに奪われる”私”~
の中で
フェイクニュースの恐るべき実態が
報告されました。

フェイクニュース

ひつじかいの印象に残ったエピソードは
次の3つです。

*その1
 フェイクニュースが
 無実の父子の命を奪った?

 これは
 実際にメキシコで起こった
 市民による
 集団リンチ殺人を伝えたものです。

 SNSに投稿されたデマ
 フェイクニュースが市民に拡散され
 日頃の不安感に扇動された彼らの間に
 怒りとなって伝染し、暴発したという
 何ともおぞましい事件です。

 きっかけは
 たった1本の投稿動画
 というのですから
 フェイクニュースが内包する暴力性に
 驚きを禁じることができません。

*その2
 知らないあいだに
 ”私”がアダルト動画の主役に?

 ITを活用した
 デジタル合成技術の進化は
 留まるところを知りません。

 その動画は
 果たしてフェイクなのかリアルなのか
 一見しただけでは判別できない領域に
 踏み込んでいるのだとか。

 たとえば
 とある外国の女学生の身に
 想定外のことが起きたというのです。

 友人からの知らせで
 ”私”をモデルにした
 アダルト動画(ディープフェイク)が
 Webにアップされ
 拡散されていることを知ります。

 私は
 そんな動画に出演した覚えはさらさらなく
 フェイクであることは明らかです。

 ただし
 彼女のフェイスだけはリアルなんだとか!
 おそらく
 以前フェイスブックに投稿した
 プロマイド写真から合成されたらしい
 ということだけは分かりました。

 投稿サイトの運営管理者に掛け合い
 件の動画はなんとか
 削除してもらうことができましたが
 すでに拡散してしまったコンテンツは
 いかんともできませんし
 拡散してしまったデータを
 逐一否定する術は
 残念ながら持ち合わせていません。

 彼女はこれからの一生
 このディープファクトに怯えながら
 生きていかなければならないのだと
 沈鬱な面持ちで語っていました。

*その3
 フェイクニュースが民意を動かす?

 フェイクニュースは
 集団リンチを誘発したり
 個人のフェイス(プライバシー)を
 騙ったりするだけではなく
 今や政治などの現場にも介入している
 との戦慄すべき報告がありました。

 まだ私たちの記憶に新しい(2020年1月)
 中華民国(台湾)総統選挙での出来事。

 この選挙は
 蔡英文総統と韓国瑜高雄市長との
 一騎打ちとなったわけですが
 ここで暗躍したのが
 フェイクニュースだといわれています。

 番組では
 現総統サイドが作成した
 フェイクニュースが
 国民の投票動向に大きく反響した様子を
 リポートしていました。

 選挙というと
 ひつじかいはアメリカ大統領選挙を
 思わず連想してしまいますが
 中華民国総統選挙が
 こうした状況であるとするならば
 かの大統領選挙などは定めし
 フェイクニュース対フェイクニュース
 の応酬合戦といった観を
 呈しているのではないでしょう。

 そのせいなのかどうなのか
 トランプ大統領はしばしば
 「フェイク」情報に過敏に反応しますよね。

 それは裏を返せば
 ご自身がフェイクを仕掛けているとの
 露骨な表明になっていると感じているのは
 ひつじかいだけなのでしょうか?

NHKスペシャル「デジタルVSリアル」。

フェイクニュースが
ここまで世界に「ウオーク・イン」
しているとは
驚き以外のなにものでもありません。
フェイクニュースがファクトを作り出す
そんな時代が
もはや現実のものとなっています。

このテーマについては
引き続きシリーズ放送されるようですので
今後もしばらくは目が離せませんね。

〈創作〉って「フェイク」なの?

「フェイク」という言葉で思い出すのは
『第三の男』や『市民ケーン』などの
硬派な映画を撮った
オーソン・ウェールズという監督です。
彼は晩年『F for Fake』(1973)
邦名『オーソン・ウェールズのフェイク』
という映画を制作しています。

この映画で
ウェールズ監督が取り上げたのが
伝説の贋作画家
エルミア・デ・ホーリーです。

映画はその画家の伝記を者した
クリフォード・アーウィングらへの
インタビューという形で
編集されています。

ほとんど神業に近いフェイク作品を
描き続けた贋作画家。
映画は
その贋作画家をめぐる伝記作家らの回想が
片々と積み重ねられていきます。

一見ファクト(事実)かと思える回想は
いつしか反転し
やがて
フェイクと思しき色合いを帯び始めます。
すると今まで
フェイクと断じられていた側面が
突如ファクトへと反転し
回想は黒白を輻輳しながら
ねじれにねじれて・・・。

やがて観客は知ることとなります。
この映画そのものがフェイク!だと。

そうして最後に一言
「してやられた!」と
つぶやくことになるのです。

限りなく本物に近い贋作を
描き続けることに命を燃やした
エルミア・デ・ホーリーにも
そのエピソードを
「フェイク映画」に仕立てた
オーソン・ウェールズにも
フェイクニュースが包含する
ネガティブなスキュームというものが
いささかも感じられません。

むしろ
彼らのスタンスは
フェイクニュースの対極にあるのでは
とさえ思えてきます。
実にあっけらかんとしているのです。

贋作も創作の亜種であると措定するならば
同じフィクションから出発した両者を
分かつポイントは
いったいどこにあるというのでしょうか?

ひつじかいは、それを
「完結性の有無」ではないかと考えます。

つまり
〈創作〉と呼ばれるフィクションは
〈創作〉された瞬間に完結している
ということです。

その後その作品が
どのような扱いを受けることになるのか
どのような反響を及ぼすことになるのか
といったことどもは
フィクション(作品)そのものとは
無関係ということです。

一方フェイクニュースは
どこまでいっても完結はしません。
むしろデジタルな仮想空間の中で
拡散し続けることになります。

コビット19と同様
増殖し感染拡大を続けることになります。

従ってバーチャルリアリティも
それがフィクション(作品)として
制作されたものであるならば
完結性を有することとなり
れっきとした〈創作〉ということに
なるわけですね。

フェイクニュースから身を守るには

コロナにはお湯!みたいなナンセンスも
それを信じてしまった人々にとっては
様々な弊害をもたらすことになるでしょう。

たとえば
お湯を飲むことで安心し
新型コロナウイルスに対する心に
「スキ」が生じてしまうかもしれません。

フェイクニュース

しからば
コロナにはお湯!みたいなナンセンスを
見抜くためには
いったいどうしたらいいのでしょうか?

答えはいたってシンプルです。

はじめに本当のことを言ってしまえば
フェイクニュースは
デジタルな仮想空間の中でしか
生息することができませんので
インターネットを遮断するというのが
手っ取り早く確実な方法なんですが

今日
インターネット無しで生活することは
できない相談ですので
多少手間はかかるかもしれませんが
「信頼できる複数のサイトから
 より多くの情報を集める」
というのが
フェイクニュースに対する正しい処方
ということになるのだと思います。

つまり
特定の情報(情報源)を鵜呑みにしない
ということが大事になるわけです。

病気のときに
セカンドオピニオンを持つように
情報に対しても
より慎重になる必要があるでしょう。
第三、第四のオピニオンを探しても
大仰ではないのだと思います。
それくらい慎重な態度を貫けば
無実の同胞を簡単に死に追いやることも
起こり得ないでしょうからね。

日常のファクトにさり気なく紛れ込んで
知らず識らずのうちに感化を強要する
フェイクニュース。
あなたはこうしたネット社会の感染から
どのように身を守って
いらっしゃるでしょうか?

新型コロナウイルスの感染拡大に乗じて
毒素を強める
この「ネットウイルス」についても
私たちは意識的でなければならないと
ひつじかいは改めて思うのです。

いずれのウイルスも
感染を広めるのは人間だということを
肝に命じておく必要があるでしょう。

 

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