コロナ禍の世界で絵本の出版に求められる新しい哲学とは

夜明け 絵本づくりABC

こんにちは、もりのひつじかいです。

新型コロナウイルスによる感染症が
世界を覆い尽くしています。

よりにもよって
このような大変なタイミングで
ひつじかいがチャレンジしてきた
絵本の出版が決定しました。

今日はその報告と


コロナ禍で深く傷ついた
このような時代にあって
それでも絵本を出版していくための
新しい哲学について

じっくり考えてみたいと思います。

絵本のみならず
広く「出版」を志すあなたにも
一緒に考えて欲しいテーマですね。

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コロナ禍を知ってもらうための絵本とは

愛知県豊明市にある
藤田医科大学微生物講座・感染症科では
新型コロナウイルスへの対応を
子どもたちにも知ってもらうために
『コロナウイルスってなんだろう?』
という絵本を作成し公開しています。

しかも
ホームページから
ダウンロードすることができます。

中国の武漢(ウーハン)で
原因不明の肺炎発症がみられたのが
2019年の11月ころといわれています。
おそらくこのひと月ほど前のタイミングで
新型コロナウイルスは動物からヒトへ
突発的に転移したものと推測されます。

その決定的な瞬間から
間もなく半年が経過しようとしています。

世界では
新型コロナウイルス究明のための研究が
それこそ
不眠不休で進められていますが

「重症化する人と
 しない人がいるのはなぜなのか?」

「空気感染に類似した感染が起きるのは
 なぜなのか?」

など
今だに5つの大きな謎が
解明できていないそうです。

ただし
ひとつだけはっきりしていることが
あります。
それは
このウイルスを根絶することはできない
ということですね。

共生

根絶できないということであるならば
〈共生〉するしか手はありません。

藤田医科大学が制作した絵本は
新型コロナウイルスへの対応について
子供向けに解説をしたものですが
今後、こうした類の絵本は
「新型コロナとの共生」ということを
主要なテーマとして
制作していく必要があるのではないかと
ひつじかいは考えています。

絵本出版の決めてとなったもの

ところで
ひつじかいが商業出版を認められた
絵本のストーリーは
「山火事」をモチーフとするものです。

原稿を書き直すこと5回。
初稿の提出からOKをもらうまでに
約4か月ちかい時間がかかりました。

この絵本ストーリーの出発点は
以前紹介した
『やまかじとんとん』です。

このときのオリジナルバージョンでは
山火事に遭遇した森の動物たちが
ひたすら逃げ続ける過程を描きましたが
出版社からのアドバイスもあり
山火事に立ち向かうストーリーに
方向転換しました。

しかしそうはいっても
最初は思うように
物語が立ち上がってきませんでした。

そこであえてより困難な課題を
自分に課すことにしました。
対立軸を設定することにしたのです。
「自分たちだけで火事は消せる」
と考える動物たちと
「他の力を借りなければ消せない」
と考える動物たちとの対立です。

この対立軸を導入することで
物語に緊張感がみなぎり
ストーリーがいきいきとしてきました。
結果的には
この緊張感が山火事の緊迫した雰囲気と
うまく呼応し
最終的に出版決定の決め手となったと
ひつじかいはみています。

4回目の書き直しから
5回目の書き直し(決定稿)の間隔は
あえてひと月空けました。
物語を発酵させるための時間を
とったわけです。

頭のなかでは、この間
対立軸の双方がそれぞれの意見を
声高に主張し合っていましたが
ひつじかいはひたすら
お互いの主張に聞き耳を立てていました。

「ストーリーをねじ伏せてやろう」
と考えていた強い気持ちが
このひと月の間に
クールダウンされていきました。

そのおかげで
物語の全体を客観的に見つめ直すことが
できたのではないかと思います。

新しい哲学

こうして『やまかじとんとん』を
1冊の絵本として
あなたにお届けできることに
なったわけです。

出版決定後の最初の打ち合わせは
絵本出版社の編集長・谷郁雄さん
担当者のTさん
それからひつじかいの3人で行いました。

ちなみに編集長の谷さんは
『大切なことは小さな字で書いてある』
などの詩集で知られる詩人です。

その谷さんから
「ストーリーはよく書けている」
とおほめの言葉をいただきました。
そうして
まずは絵コンテを仕上げるようにとの
宿題をいただきました。

このときのやり取りにつきましては
後日改めてお伝えしたいと思っています。

打ち合わせを終えて
家に帰ったひつじかいは
ストーリーボードをたたき台に
本格的な絵コンテづくりに着手しました。
与えられた時間は2週間。
こんなに真剣に「絵」と向き合ったのは
何十年ぶりのことでしょうか。

ところが
絵コンテが完成し
電子データ化したものを
Tさんに送信したあたりで
新型コロナウイルスによる
国内初の死亡例が報告されました。

そして
この疫病の感染拡大により
ひつじかいの
絵本出版に向けたスケジュールも
大幅に
変更されることになってしまうのです。

コロナ禍に絵本はどのように関わればいいのか?

これまでの
新型コロナウイルスの振る舞いを
じっくり観察してみると
このウイルスはわたしたちに
意識の大転換〈パラダイムシフト〉を
求めているように思えてなりません。

コロナ禍の「世界」は
もう以前のような「世界」では
あり得ないでしょう。

あまりにも短い時間で
何の準備も宛てもなく
わたしたち人類は
大きく変容しなければならないのです。

あなたも
ひつじかいも
まわりの全てのひとたちも
それからもちろん絵本も
その例外ではありません。

新しい哲学

これからの絵本は
コロナ禍による洗礼を経て
新たに構築される世界観や哲学に
対応していかなければならないでしょう。

 

では具体的には
どんな態度で臨めばいいのでしょうか?

ヒントになるのは
フランスの作家
アルベール・カミュの小説
『ペスト』ではないかと思います。

カミュは怖ろしい疫病を前にして
ひたすら〈誠実〉であることが大切だと
主人公に言わせています。

そしてさらに
「共感」と「連帯」の醸成を
重厚に謳い上げています。

コロナ禍のこの時代に
絵本を出版する際にも
このような態度や視点が
求められるはずです。

ひつじかいは、すでに
次作の絵本ストーリーを
練り始めています。
そこにはおそらく
〈パラダイムシフト〉によってもたらされる
新しい哲学が
投影されることになるでしょう。

絵本に限らず
新型コロナウイルス時代を生きる
わたしたちひとりひとりが
その新しい哲学を胸に
歩み始めることになるでしょう。

それがこの特異なウイルスが
わたしたちに求めていることの
全容だと思います。

 

さて

あなたはどんな哲学をもって

この新しい時代を生き始めますか?

 

もちろん
この災いを
「共感」と「連帯」で生き延びてから
ということになるわけですが・・・。

 

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