こんにちは、もりのひつじかいです。
それでは、これから
ひつじかいの「絵本おすすめの1冊」を
お届けさせていただきます。
ひつじかいのレビューは
注目すべきポイントに
フォーカスする手法で書いていますので
これを読んだだけでは
絵本の全体像は掴めないかもしれません。
興味のある人は
実際に手に取ってみてくださいね。
あなたの心に
ふかく響くものが
あるはずで。
さて、今日のテキストは
『あいたた山のてての木』
はしもとゆうこさく・え(講談社)です。
奥付を見ると
1993年4月3日 第1刷発行
とありますので
どうやら息子が産まれた年に買い求めた
「アニバーサル絵本」の1冊
ということです。
ただ、残念なことに
現在、入手が難しくなっています。
図書館で探すか
Amazonを覗いてみてください。
ちなみにAmazonでは
プレミアがついているようです。(汗!)
では、前置きはこれくらいにしまして
さっそくページをめくってみましょう。
子どもたちの期待を裏切り続ける不思議な絵本
絵本『あいたた山のてての木』に登場する
2人(?)の主人公
〈うーさん〉と〈とりたん〉は大の仲良し。
ある日、ふたり(?)は
〈あいたた山〉
と呼ばれる山のてっぺんにある
〈てての木〉
まで行ってみることにしました。
実は〈あいたた山〉は
〈うーさん〉の家からは目と鼻の先。
〈てての木〉もはっきりと見えています。
しかし、そこは近くて遠いところ。
なぜなら、その山には
3匹?のマモノが住んでいるからです。
〈てての木〉へたどり着くためには
マモノが繰り出す難問の数々に
正しく回答しなければなりません。
性格は良さそうだけどどこか頼りなげな
〈うーさん〉と〈とりたん〉は
果たしてこの難局を
無事に乗り切れるのでしょうか!
と、あらすじを言ってしまえばこれだけ。
ところがこの絵本
子どもたちには、とても好評でした。
息子と娘にそれぞれ100回以上は
読み聞かせてきたかと思います。
「何回読んでも飽きがこない」
というのが、この絵本の特長です。
でも、これは
この絵本に限ったことではなく
息が長いといわれている絵本に共通する
特色のひとつではないかと思います。
では
ひつじかいが着目する1つめのポイント
『あいたた山のてての木』の魅力の底流
について考えてみたいと思います。
まずは
思いつくところからアトランダムに
項目を書き出してみますね。
*〈うーさん〉と〈とりたん〉の友情が
じつに爽やかで心地よい。
(なんか、いい!)
*マモノのクイズに真剣に答えるふたりを
真剣に応援したくなる。
(手に汗!)
*真剣に答えた回答が、その真剣さ故に
ある種の「おかしみ」を漂わせている。
(つまらない話なのに、オモシロイ!)
*怖いはずのマモノは実に人間臭く
なぜか感性が豊か。
(マモノなのに、そんなに怖くない!)
*「てての木」の正体と
木からの贈り物に対する驚きと喝采。
(そういう意味だったのか!)
*さまざまな固有名詞に、ユーモア
あふれるネーミングがされている。
(聞き慣れない響き、だけど新鮮!)
などなど、挙げればきりがありませんが
ひとことでいうと、この絵本は
良い意味で
子どもたちの期待を裏切り続けてくれる
そんな絵本なんですね。
そして結局最後までハラハラ・ドキドキ
「物語から目を逸らすことが」
できなくなってしまうのです。
近くて遠いところの物語
ひつじかい着目の2つめのポイントは
〈てての木〉なる不可思議な木は
〈うーさん〉の家の窓から
いつも見えている、という点です。
・すぐそこにあっても実は遠いところ。
・行けそうだけど行けないところ。
・いつかは行こうと思っていたところ。
こういう前提状況を設定したことで
お話しに深みと奥行きが与えられました。
そして
その深みと奥ゆきをもたらす山と木を
いつも映し出していたのが
〈うーさん〉の家の「窓」なのです。
難しい言葉でいうと
「プロセニアム・アーチ」と呼びます。
お芝居の専門用語ですが
「舞台」という空間を切り取る「枠」の
ことです。
「窓」とか「額縁」などもこの類ですね。
この「枠」があることで
「舞台」という限定された空間が
生まれるのです。
つまり、何が言いたいのかといいますと
〈うーさん〉の家の「窓」は
この「プロセニアム・アーチ」の役割を
果たしているのではないか
ということなんです。
そこはもう
限定された空間、つまり舞台ですから
どんなに突拍子のないことが起こっても
安心して見ていることができるのです。
「窓」を効果的に使った絵本は
ほかにも、まだたくさんありますね。
「窓」の扱い方ひとつで
世界が変わって見えるなんて
絵本というフィールド(世界)は
つくづく面白いところだなと思います。
あなたも、この「枠」というものに
着目してみてください。
「枠」にはめることで
逆に発想が広がるかもしれませんから。
さて
ここまで盛られたら(笑)
どうしてもこの絵本が欲しくなった
というあなたは
リンクを張っておきますので
中古市場を確認してみてください。
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