豪華なのに残念なコラボ絵本「大きなサイズ」で読みたくなるね!

こんにちは、もりのひつじかいです。

 

今日は
世界の絵本作家が
コラボレートして創り上げた絵本を通じ
絵本の「絵」のサイズについて
考えてみたいと思います。

 

「絵本の定義」とか
「絵本の判型」などとも
密接にからんでくるテーマですので
過去の記事にもリンクを飛ばしながら
お話しをすすめてみましょう。

 

9人の絵本作家がコラボレーション!

本日取りあげる絵本は

絵本まるいちきゅうのまるいちにち表紙

『まるいちきゅうの まるいちにち』
ALL IN  A  DAY

安野光雅・編/童話屋/1986 です。

 

この絵本は
編集も兼務した安野光雅さんを含めて
世界9人の絵本作家の競作(コラボ)
によって制作されています。

ちなみにその顔ぶれとは・・

 

エリック・カール(アメリカ)
レイモンド・ブリックス(イギリス)
ニコライ・E・ポポフ(ロシア)
林明子(日本)
ジャン・カルビ(ブラジル)
レオ&ダイアン・ディロン(ケニア)
朱成梁(中国)
ロン・ブルックス(オーストラリア)
安野光雅(※無人島)

 

となっています。

 

『はらぺこあおむし』で一世を風靡した
エリック・カールや
『ゆきだるま』『風が吹くとき』
などで知られるレイモンド・ブリックス
などが名を連ねています。

日本からは安野さんのほかに
『おててがでたよ』『こんとあき』の
林明子さんが参加しています。

 

とにかくこれだけをみても
豪華な一冊であることに
異論はないでしょう。

 

ちなみに、安野さんの所属が※無人島
となっているのは
漂流して無人島に流された少年の物語を
担当しているからです。
(つまり、ある種のジョークですね。)

 

で、このコラボ絵本の内容は?

この絵本は
「世界の多様性を表現する」
というねらいがありますので
絵本作家が暮らしているそれぞれの国の
同じ日&同じ時間帯を切り取っています。

 

1月1日の
グリニッジ標準時間0時から始まり
同21時に終わります。

 

しかし世界は広いので
グリニッジ標準時間0時というのは
日本では1月1日の午前9時ですが
アメリカでは12月31日の
午後6時ということになります。

 

そういう様々な時間帯からスタートして
3時間ごとに場面をスライドさせながら
それぞれの国のささやかな物語が
静かに進んでいくことになります。

絵本まるいちきゅうの見開き

『まるいちきゅうの まるいちにち』見開きから

内容的にはこれだけのことですが
8つの国+無人島のシーンが
ひとつの見開きに同居していますので
なんとも賑やかな紙面になっています。

 

世界の異なる時間

異なる風俗

多様性を

ひとめで感じることができる仕組みです。



とても珍しいかたちのコラボ絵本と
いえるのではないでしょうか。

 

ところが、残念なことに・・

 

絵本をじっくり見つめ
その世界に入り込めば入りこむほど
それぞれの作家のそれぞれの「絵」を
「もっと大きなサイズ」で
見たくなってしまうのです。

「規格判型外の変形」なんて
贅沢なことは言いませんが
せめてB5版くらいのサイズで
A4版ならいうことなし!
てな調子で・・。

 

このコラボ絵本を開くたびに
何かもやもやしたものを感じていたのは
たぶんそういうことだったのだろうと
最近になってようやく気がついたのです。

 

世界の多様性を
絵本で表現するというのは
それはそれで素晴らしいこころみですが
絵本の「絵」には
相応のサイズというものがあるんだな
ということに気がついたのです。

靴のサイズもさまざま

そのサイズというのは
編集者が決めるわけではなく
絵本の「絵」自らが
自然に求めてくる大きさなんだ
ということも
この絵本をながめているうちに
なんとなく分かってきたのでした。

 

「豪華なのに残念な~」というのは
そういうことを指しているのです。

 

もう一度原点に還って・・絵本とは?

ではここで
「絵本とは何か」という原点に
立ち返ってみたいと思います。

 

詳しくは
こちらの記事に書いていますので
気になる人は後で覗いてみてください。

「絵本」の定義って?『えがないえほん』にヒントを探して

 

このなかでひつじかいは
先達の考えを踏まえ、絵本について
次のように定義していますね。

 

絵本とは
絵(画面)を主体として
ストーリー展開する本のことで
絵と言葉の相互依存により成立する
ページめくりのドラマのことである。

 

ここで注目しておきたいのが
「絵(画面)を主体として」
の一文です。

 

今さら言うまでもありませんが
絵本の主体はあくまでも
「絵」だということなんです。

そして
言葉が入るものであれば
絵と言葉とが相互依存するくらいに
密接な関係になければならない
ということなのです。

 

『まるいちきゅうの まるいちにち』は
構成上、おそらく
この部分が弱いのかもしれません。

 

絵本の画面サイズについてはどう?

これについてもひつじかいは
ここまでいろいろと検証しています。

あれもこれも規格外?絵本のサイズは変形だらけ!

 

この記事の中でひつじかいは
次のように推論してみました。

絵本に「規格判型外の変形」が多いのは
絵本の絵というビジュアルコンテンツを
最大限に引き立たせるサイズである
からではないか。

という、あの部分です。

 

『まるいちきゅうの まるいちにち』の
それぞれの絵は、編集上
この理屈を無視せざるを得なかった
ということなんですね。

 

おそらく
各絵本作家が提出した原画のサイズは
もっとずっと大きかったのだろうと
思います。
だから絵本のそれぞれの「絵」は
その元の大きさに戻りたいと
さわいでいるのだと思います。

 

たぶんひつじかいは、その声を
聞いてしまったのかもしれませんね。

 

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林明子さんが描いた日本のお正月
昔なつかしい「綿のお布団」の絵を
原画サイズで見てみたいと
ひつじかいの思いは募るばかりです。

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