藤野の彫刻めぐり第二弾!三梨伸『両側の丘の斜面』

まわりの風物に溶け込む藤野の彫刻 絵本の美術館・童話館ほか
夢見てるあいだに・・

こんにちは、もりのひつじかいです。

神奈川県相模原市
旧藤野町の地域エリアに点在する
現代彫刻の数々。
その数は全部で28基あるのだとか・・

今回はその中から
三梨伸(みつなしのぶお)氏の彫刻
『両側の丘の斜面』をご紹介しましょう。

藤野の彫刻第二弾!

藤野の彫刻めぐり第一弾は
次のリンクからご覧いただけます。

現代アートは難解?でも簡単にわからないところが面白い!

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ねむってるあいだに夢見てるあいだに・・

ときは流れ

過ぎてゆく・・

藤野の山野に点在する彫刻を見ていると
シャンソン歌手金子由香利さんが歌う
『時は過ぎ行く』が
なんだか遠くから
聞こえてきそうな感じがします。

設置から三十年ちかい風雪を経て
いまやすっかり
まわりの風物に溶け込んでしまった
藤野の彫刻の数々・・

ねむってるあいだに
ときだけが無常に通り過ぎてしまった
と、そんな印象でしょうか。

冬ざれた景色の中の秋川橋

冬ざれた景色のなかの秋川橋

JR藤野駅を出て
日連大橋を渡り
さらに秋川橋を過ぎ
大太刀(おおだち)という集落へ向かう
ヘアピンカーブの一角にたたずむ
オブジェ。

タイトル『両側の丘の斜面』も
そうした彫刻郡のひとつです。

変化に富む自然の中に異質な造形を・・

空間の緊張感、

相対性、

小宇宙を創造する。

彫刻の説明プレート

彫刻の傍らに設置されたプレートには
作家が記した作品の意図が
そう刻印されています。

しかし、そのような意図とは裏腹に
この彫刻は藤野の山野と
一体化しているため
まわりの空間は緊張するどころか
むしろ和んでさえ見えます。

まわりの風物に溶け込む藤野の彫刻

それゆえに
相対化されるということもなく
藤野という小宇宙に
溶解してしまったかのような・・

それが藤野彫刻郡の魅力なんです!

藤野という小宇宙に包摂された
これら彫刻の数々
それが藤野彫刻郡の特徴であり
魅力でもあるのでしょう。

ここに暮らす人たちにも
それが彫刻であることを
忘れさせてしまうくらいに
その姿はナチュラルそのものです。

大きな松ぼっくりみたい

大きな松ぼっくりみたい!


いつの時代のどんな為政者が
どのような意図をもってはじめた
事業であったのか
いまとなっては
ふかく知る必要もないのでしょうが
これらの彫刻群が今後さらに
「溶融」していくことを思うと
やすらぎすら覚えるのは
何故でしょうか?

「両側の丘の斜面」とは?

ところで
この作品のタイトルに記された
「両側の丘の斜面」という言葉が
ちょっと気になります。


単純に考えると
オブジェは3体ありますので
各オブジェの側面を
丘の斜面に見立てると
斜面は3つある
ということになります・・

しかし
作者が注目している斜面は
「両側」だというのです。

これは
3体あるうちの
両側のオブジェにだけフォーカスせよ
ということなのでしょうか?


おそらく
そんな単純なことではないのでしょうね。


ヒントは
プレートに書かれたあの言葉

 変化に富む自然の中に
 異質な造形を持ち込む

にあるのでしょう。

つまり両側とはー

意図して持ち込まれた
異質なオブジェにより
切り取られた空間の
その両側

ということになるのではないでしょうか?

ということは、この彫刻に関しては
彫刻そのものではなく
この彫刻のまわりに現れた
「目に見えない斜面」に
注目しなければならない
ということではないかと思います。

これはあくまでも
ひつじかいの解釈ですので
あなたはあなたのやり方で
想像してみてください。

そう!
それが現代彫刻、現代アートの
魅力ですから。

耳をすませば

ほら
聞こえてきそうな気がします
あの
懐かしいシャンソンが・・

ちなみにこの曲の原題は
IL Est Trop Taed
(今となってはもう・・)。

ジョルジュ・ムスタキが
ピア・コロンボのために書き下ろした
名曲ですね。

彼女が歌う
IL Est Trop Taedを見つけましたので
共有させていただきます。

 

 ねむってるあいだに

 夢見てるあいだに

 ときは、ときは

 過ぎてゆく

 

あなたも
これらの彫刻を見物したければ
ここ
藤野に
お出かけください。

きっと
誰にも邪魔をされることなく
稀有な彫刻の数々を
静かに鑑賞することができるはずです。

それから
これはまったくの余談ですが
この藤野というところは
知る人ぞ知る
「ゆず」の産地でもありまして
ちょっとほかでは買えないポン酢や
ゆずワインなどを求めることができます。

彫刻を見物したあとに
お土産として購入してみてください。
「味覚」をとおして
藤野への理解が
深まることでしょう。

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