ひつじかいのオリジナル絵本ストーリー『3・11のつばめ』

こんにちは、もりのひつじかいです。



民家の軒下の春-夏の風物詩といえば
つばめの巣作り&子育てでしょうか。
ひつじかいが暮らす賃貸アパートでも
親鳥が熱心に抱卵しています。

ところが困ったことに

つばめは1階の軒下で営巣していますので
ひつじかいが階下に降りようとする度に
外階段の途中で
親つばめと目が合ってしまうのです。

ツバメの巣

するとその都度つばめは巣を離れ
一旦どこかへ飛び去っていくのです。
こんなことが日に何回も繰り返されます。
つばめには申し訳ないなと思いつつも

 

 そんなに怖がるのなら、どうして
 こんなに人の近くへやってくるのか。

と、多少の反発を覚えてしまいます。

しかし胸に手を当てて考えてみますと
人間の懐に飛び込むというこの離れ業は
つばめの高等戦術のひとつなのです。

 

つまり・・・

人がいるところへは天敵も近づけない!
ということですね。

 

 なんだ、人恋しいわけじゃないのか。


なんて
真相を知ればがっかりしてしまいますが
それでも

 

「雛鳥の顔見世をしてくれた」
「巣立ちの前にちゃんと挨拶していった」

 

などという
地方にお住まいの方々の投書を読むと

 なかなか礼儀正しい鳥ではないか!


と、いっぺんに評価は跳ね上がり
そのうえ、晴れて巣立ちができる雛は
全体の2割にも満たない、とか
潜在的な個体寿命は15年といわれながら
渡りや子育てのストレスから
1年半から2年ほどしか生きられない
などという話しを聞くに及んで

 

 なんて健気な鳥だ!
 大切にしてあげよう。

 

と、態度を180度も改めてしまう
現金なひつじかいでもあるわけです。

 

このように
つばめの生態を知れば知るほど
彼らを主人公にした絵本の
オリジナルストーリーを書けないものか
という思いが強くなりました。

 

Amazonでつばめ絵本を確認!

そこですかさずAmazonを叩いてみましたら・・


つばめの関連絵本がずらり。

『ツバメのたび
  -5000キロのかなたから-』

『ツバメ(鳥の一年シリーズ)』

『はばたけツバメ(しぜんといっしょ)』

『ツバメ(田んぼの生きものたち)』

『ツバメのくらし(科学のアルバム)』

『ツバメ観察辞典(自然の観察辞典)』

『育てるちえ(動物のちえ)』

『つばめのハティハティ』

『つばめこうくう』

『つばめのおんがえし』

 

・・・・・・

 

1ページ目だけでも
これだけの絵本が並んでいます。
しかしよくよく見ると
どうも「科学絵本の割合が高いな」
という印象を受けます。

ということなら・・

物語性重視のストーリーであれば
多少の読者ニーズがあるのではと
考えたわけです。

 

ひつじかいの胸のなかには
かれこれ10年も前から封印してきた
ひとつの風景があります。それは、
災害復興ボランティアで現地入りした
東日本大震災のときのものです。

 

海まで続く一面の広がりの中に
家の基礎やコンクリート製の段々などが
ポツンポツンと残っていて

かつてここには
そこかしこに家が建っていたことが
想像できるのでした。

 

思考が停止してしまう風景というのは
ああいうものを指していうのでしょう。

 

自然の猛威と微力な人間の儚さとを
目の当たりにして、ひつじかいは
ただ沈黙せざるを得ませんでした。
同じチャーターバスでやって来た
他の仲間たちも
みな一様に沈黙していました。

 

あれから10年が経ちましたので
もうそろそろ封印を解いてもいいかな
と思うのです。
あの災害現場に
つばめを帰してあげてもいいのかなと
ふと思ったのでした。

 

そこで絵本を想定した
オリジナルストーリーの原案
(スクリプト)を練り上げてみました。
主人公はもちろんつばめです。

あくまでも原案ですので
まだ「もやもやと」としていますが
少し時間をかけながら
ブラッシュアップしていきたいなと
思っています。

 

『3・11のつばめ』(オリジナル絵本原案)

【見開き1】

東北地方。

海に面して拓けた小さな町。
その小高い丘の上に
一本の古い銀杏の木が立っている。

 

4月。
桜のつぼみがふくらみかけている。

銀杏の梢をかすめるように滑空しながら
つばめの群れが降りてくる。

〈銀杏の声〉

きた きた。
ことしも ぶじに かえってきた。

 

【見開き2】

つばめの群れは、銀杏のまわりを
2~3回まわると
海沿いの町並みをめざして
三々五々と別れ、散っていく。

黙って見送る老銀杏。

きょねん せわになった いえに
ああやって たずねて いくのだ。

じいさん いま かえったぞ
ばあさん たっしゃで いたかい? 
とな・・・。

 

【見開き3】

とある民家の庭先に舞い降りるつばめ。
家の近くの電線にさっと止まって
にぎやかに鳴き始める。

古い造りの家。
玄関の戸も
サッシュなどという代物ではなく
昔ながらの重たい引き戸である。

港の賑わいが遠く近く響いてくる。

物干し竿に吊るしたラクダのシャツが
風に揺れている。



【見開き4】

やがてガタガタと音がして
じいさんが出てくる。

つばめが
ひときわ大きな声でさえずり始める。

目ざとくつばめを見つけるじいさん。

「ほう かえったか!
 おかえり おかえり」

じさんはそう言うと
そそくさと家の中へ引っ込む。
「ばあさん!」などと呼ぶ声が
奥の方から聞こえてくる。

戸のすき間から
勝手知ったる我が家へと入り込むつばめ。



【見開き5】

玄関のたたきの上の太い梁の上に
去年の巣がそのままになっている。
その巣に止まって
気忙しく点検を始めるつばめ。

その様子をじっと見つめる
じいさんとばあさん。

「ほんに きょうくらいは ゆっくり
 やすめば いいものを・・・。」

そういうばあさんの目は
まるで孫を見るようにうるんでいる。



【見開き6】

2日後にもう一羽のつばめが合流。
どうやらメスらしい。
うれしそうにさえずり交わす2羽の番。
巣の修復はすっかり終わっている。

茶の間からその様子を覗うばあさん。
仏壇には一人息子の遺影が
ぽつんと置いてある。
かなり若そう。

どうやら きょねんの カップルが 
めでたく であえた ようじゃ。
さあ つぎは こそだて だ。 
はげめ はげめ!

  

【見開き7】

二人で墓参りに出かける
じいさんとばあさん。

「ちょっと でかけてくるから
 るすを たのんだで」

孫に言葉をかけるように声がけする
ばあさん。

年代ものの軽自動車が庭を出ていく。
なんと1968年製の三菱360バンだ!
青磁色のボンネットに
春の日差しが眩しい。

玄関の戸はわずかに空いている。
そこから
勝手きままに出入りするつばめの番。



【見開き8】

抱卵が始まった。
24時間、交代で卵を抱き続ける番。
それをうれしそうに見守る
じいさんとばあさん。

「ほんに つばめは えらいものよのう
 だれに いわれなくとも ほれ
 なんつったか つけめん じゃ!」

「それをいうなら いくめん だわい!」 


二人の笑い声は番にも聞こえている。



【見開き9】

5羽の雛がかえり、給餌に忙しい番。
われもわれもと、餌をねだる雛たち。

つばめの雛

雛は日毎に成長し
やがて巣立ちの訓練が始まる。
玄関の戸を大きく開けてやるじいさん。

いよいよ巣立ちの朝がきた。
一列に整列し、じいさんとばあさんに
別れの挨拶をする雛たち。

「ばあさん みたか?
 こいつら あいさつを しよるわ!」

「れいぎ ただしい わらしたちじゃ!」



【見開き10

秋。
番の旅立ちの時がやってきた。

家のまわりをぐるぐると旋回する番。
電線に止まって
ひときわ声を張り上げる番。

その姿を名残惜しそうに見上げる
じいさんとばあさん。

「たっしゃでな!」

「らいねんも かならず
 かえっておいで しんいち!」

「しんいち だって?」

「あ まちがえた。ついつい 
 むすこのなまえ よんでしまったわ・・」


銀杏の丘に向かって飛んでいく番。
じいさんとばあさんは心配そうに
いつまでも見送っている。



【見開き11

ツバメの飛翔

無窮の大空を飛翔するつばめの群れ。
はるか彼方に
日本列島の島影が見えている。



【見開き12

2011年4月。
丘の上に
銀杏の木だけがつくねんと立っている。
眼下の町並みは跡かたもなく消えている。

所々に残った基礎や
コンクリートの段々などから
ここかしこに家々があったということが
見てとれる。 

その銀杏をかすめるように滑空しながら
つばめの群れが降りてくる。

群れはそのまま
銀杏のまわりを2~3回まわり
やがて異変に気がつく。

かつては町並みがあったあたりまで
飛んでいくものもあるが
ほとんどのつばめたちは
ただぐるぐると
銀杏のまわりを旋回し続けている。



【見開き13

じいさんとばあさんの家を探す
一羽のつばめ。
だが、何もない。

つばめの脳裏には、ふと
〈三菱360バン〉の姿が思い浮かび
その青磁色の車体を目で追い求めるが
車の姿はどこにも見当たらない。



【見開き14

銀杏の枝で翼を休めるつばめの群れ。
突然身づくろいを始めるもの
辺りを臆病そうに見回すもの
しきりに足場を気にするものなど
つばめの戸惑いぶりが伝わってくる。

そこに半日ほど留まるつばめたち。
だが辺りは静まり返ったまま。
日が西に傾きかけている。



つばめたちの とまどいに
むねが ふるえた。
しかし わしには かけることばが
みつからなかった。



【見開き15

思い余って一羽のつばめが枝を離れる。
つられて何羽かがその後を追う。
三々五々、つばめは銀杏を後にし
幹の周りを大きく旋回しながら
大空をめざして舞い上がっていく。

遅れて飛んでいく一羽のつばめ。


すると そのとき とおくから 
だれかを よぶ こえが 
きこえてきたのだ。

それは こんなふうに いっていた。

「かならず かえっておいで 
 しんいち!」と・・・。


 力強く飛んでいくつばめ。
溶いたばかりの絵の具のような
瑞々しい空が
果てしなく広がっている。

(終わり)

 

絵本は未来志向でいかなくちゃ!

いまお読みいただいた
オリジナルストーリーのスクリプトは
「結末が悲しすぎ」ますよね。
絵本のストーリーだということを考えると
まず、ここをなんとかしなければいけない
でしょうね。

 

前半のテンポをもっとアップして
1~2見開き(テイク)を確保し
その分を後段に回すことにしましょう。

そして最後の1~2の見開きは
現在(復興後)の町
ということにしたいと思います。

 

復興とともにつばめも復帰した
というオチにすればどうでしょうか。



現に福島第一原発の放射能漏れ事故により
住民の立ち入りが制限された町や村では
人影が途絶えた家並みから
つばめも姿を消したという観察報告が
寄せられています。



絵本の使命のひとつに
「未来志向で」というのがあります。
再び帰ってきたつばめの姿を描くことは
平凡ですけど絵本のストーリーとしては
前向きで座りがいいかもしれません。

 

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