こんにちは、もりのひつじかいです。
このブログでもたびたび取り上げている
『絵本の書き方』
(エレン・E・M・ロバーツ著/朝日文庫)
という本に
原稿を練り上げる方法が出てきます。
第10章「原稿を練り上げる」
158ページ参照
今日は
その方法を実践してみたいと思います。
【絵本の出版】に近づくために
スキルアップできるかもしれません。
これまでに試したことがない手法ですが
チャレンジする価値はありそうです。
テキスト(素材)として
ひつじかいのオリジナル原稿
『おつきみくださ~い』を用意しました。
この絵本ストーリーは
この記事のために
ざっくりと書き上げたものですので
内容的に荒削り的なところもありますが
どうかご容赦ください。
ひつじかいが現在住んでいる地域に伝わる
不思議な「おつきみ」の風習を
モチーフにしています。
おつきみの日に近所の家々をまわると
お菓子をもらえるという
なんとも、おもしろい風習です。
もちろん、子どもが、ということですよ
間違えないでくださいね。(笑)
まるでハロウィーンみたい!
そういうひつじかいも
「おつきみ」をふるまいましたよ
バーンとね。
ところが、見立てが甘かったみたいで
かなり大量に残ってしまいました。
あまり、おいしくなかったのかな?
仕方がないので
毎日おやつに食べ続けています。
(太るよ!)
ということで
絵本のストーリーを考えている
あなた!
ひつじかいと一緒に
原稿を練り上げてみましょう。
絵本ストーリーの肝はバランス!
『絵本の書き方』では32ページの絵本
(見開き16)を想定していますが
それだと少し長くなってしまいますので
今回は24ページ(見開き12)相当で
原稿を練り上げるパフォーマンスを
実践してみたいと思います。
ここで、『絵本の書き方』の
158ページに掲載されている指示事項を
整理しておきましょう。
※本分中の16は12に置き換えています。
①第1稿の長短に関係なく
ポイントはバランスである。
②全体を12等分に分割してみる。
③どこでもいいから
12分の1にした原稿を読んでみて
言いたいことが伝えられるか
イメージは崩れていないか
少し肉付けしたり
逆にカットできないかを考える。
④12分の1を個別の文章として点検する。
⑤削ったり継ぎはぎしたりして
12それぞれのバランスをとり
ほぼ均等に物語を担うように調整する。
この指示において最も重要なポイントは
見開きそれぞれのパートが
ほぼ均等に
物語を担っていなければならない
という部分ですね。
つまり
タガが緩んだページがあったり
物語の見栄をよくしようと
不要なページを挿入してはいけない
ということです。
これは実際には
なかなか厳しい注文です。
これらの指示に配慮しつつ
実際に原稿を分割し
練り上げてみましょう。
テキスト『おつきみくださ~い』
まずは
テキストとして用意した
ひつじかいのオリジナル原稿を
書き出してみますね。
注:ベタ打ち状態で表示しています。
こんやは じゅうごや
まちにまった おつきみのひ。
えりかちゃんは あさから
わくわく どきどき しています。
だって、おかしが いっぱい
もらえる ひですもの!
ことしは、おねえちゃんといっしょなら
でかけてもいいよって
ママから いわれています。
おおきな ふくろも よういしました。
ここに おかしを いれてもらうのです。
おねえちゃんは
「おおきすぎるよ」って いうけれど
ともだちの なっちゃんは
「おおきいほうが いいにきまってる!」
って いうから
この ふくろに きめたのです。
ゆうがたに なりました。
そろそろ おでかけの じかんです。
おねえちゃんの おともだちも
やってきて、ぜんぶで 5にん。
「おつきみ くださ~い」
みんなは こえをあわせて となえると
きんじょの いえの おにわに
ずんずん ずんずん はいっていきます。
えんがわには すすきが かざられ
やさいや おまんじゅうが
おつきさまに そなえて あります。
「おつきみ どうぞ」
そのいえの おばあちゃんが
おそなえの おかしを
みんなに とりわけてくれました。
ところが えりかちゃんと きたら
はずかしくて はずかしくて
おにわに はいることが できません。
みんなは もう つぎの
おかしのことで あたまが いっぱい。
えりかちゃんのことなど
おかまいなしに どんどん
どんどん いってしまいます。
「まって、まってよ~」えりかちゃんは
あわてて あとを おいかけました。
つぎの おたくは
どうぶつびょういん!
また ことしも すごい おかしが
もらえるかな~。
「おつきみ くださ~い!」
みんなの こえにも
おもわず ちからが はいります。
ところが えりかちゃんと きたら
もじもじ ぐずぐず するばかり。
すごい おかしを もらい そこねて
いまにも なきべそを かきそう。
あたりは だんだん
くらくなって きました。
おねえちゃんたちの ふくろは
もう おかしで はちきれそうです。
でも えりかちゃんの ふくろは
まだ ぺったんこ。
みんなが かどを まがりました。
えりかちゃんも いそいで はしって
ちかくの おにわに かけこみました。
あれ? みんなは どこ?
おねえちゃんたちの すがたは
どこにも みあたりません。
おにわの おくのほうを よくみると
のっぽの うさぎが 2わ
せっせと おもちを ついています。
ふしぎなことが あるものです。
えりかちゃんは
みんなの ことなんて
すっかり わすれて、
しばらく ようすを ながめていました。
うさぎは おたがいに ことばを
かけながら たのしそうに
おもちをついています。
それが あまり たのしそうなので
えりかちゃんも ちょっと
おもちを ついてみたくなりました。
そこで、
なかまに いれてと いうために
うさぎの そばまで いって
「おつきみ くださ~い」
って いいました。
あれ? ちがったかな?
すると、うさぎは
「ほいきた がってん おつきみだ!」
「まかせて がってん おつきみだ!」
と ようきに こえを かけあうと
ついたばかりの おもちを くるくると
まるめ、えりかちゃんの ふくろに
たくさん いれて くれました。
そうして
「いつも しんせつにしてくれて
ありがとう」と いうと
ぴょんぴょん はねて どこかへ
いってしまいました。
おねえちゃんたちが あおくなって
かけこんできたのは それからすぐの
ことでした。
えりかちゃんは いまのできごとを
おねえちゃんたちに はなして
きかせました。それから
あの うさぎは ようちえんの
うさぎに まちがいはない
ということを つけくわえることも
わすれませんでした。
「へえー、そんなことがあるんだ」
だれかが ぽつりと つぶやきました。
そうして みんなは もういちど
えりかちゃんから もらった おもちを
ふしぎそうに ながめました。
おもちは まるで おつきさま
みたいに まんまるで
まだ ほのかに
ぬくもりが のこっていました。
(おわり)
テキストを12等分します
テキストは115行ありますので
9~10行を目安に12等分します。
さらに
12等分することで見えてくる「アラ」を
見え消し線で修正します。
この見開き単位のプロットを
個別に点検し
物語を均等に担えるよう
「切った貼った」を行うわけです。
それが本来の練り上げるということです。
今回は
「切った貼った」までは行いませんが
近いうちに
完全なかたちで練り上げてみますね。
練り上げた原稿は、別途投稿しますので
よろしかったらそちらもご覧ください。
1
こんやは じゅうごや
まちにまった おつきみのひ。
えりかちゃんは あさから
わくわく どきどき しています。
だって、おかしが いっぱい
もらえる ひですもの!
ことしは、おねえちゃんといっしょなら
でかけてもいいよって
ママから いわれています。
2
おおきな ふくろも よういしました。
ここに おかしを いれてもらうのです。
おねえちゃんは
「おおきすぎるよ」って いうけれど
ともだちの なっちゃんは
「おおきいほうが いいにきまってる!」
って いうから
この ふくろに きめたのです。
ゆうがたに なりました。
そろそろ おでかけの じかんです。
3
おねえちゃんの おともだちも
やってきて、ぜんぶで 5にん。
「おつきみ くださ~い」
みんなは こえをあわせて となえると
きんじょの いえの おにわに
ずんずんとずんずん はいっていきます。
えんがわには すすきが かざられ
やさいや おまんじゅうが
おつきさまに そなえて あります。
4
「おつきみ どうぞ」
そのいえの おばあちゃんが
おそなえの おかしを
みんなに とりわけてくれました。
ところが えりかちゃんと きたら
はずかしくて はずかしくて
おにわに はいることが できません。
みんなは もう つぎの
おかしのことで あたまが いっぱい。
5
えりかちゃんのことなど
おかまいなしに どんどん
どんどん いってしまいます。
「まって、まってよ~」
えりかちゃんは
あわてて あとを おいかけました。
つぎの おたくは
どうぶつびょういん!
また ことしも すごい おかしが
もらえるかな~。
6
「おつきみ くださ~い!」
みんなの こえにも
おもわず ちからが はいります。
ところが えりかちゃんと きたら、
もじもじ ぐずぐず するばかり。
すごい おかしを もらい そこねて、
いまにも なきべそを かきそう。
あたりは だんだん しだいに
くらくなって きました。
7
おねえちゃんたちの ふくろは
もう おかしで はちきれそうです。
でも えりかちゃんの ふくろは
まだ ぺったんこ。
みんなが かどを まがりました。
えりかちゃんも いそいで はしって
ちかくの おにわに かけこみました。
あれ? みんなは どこ?
おねえちゃんたちの すがたは
どこにも みあたりません。
8
おにわの おくのほうを よくみると
のっぽの うさぎが 2わ
せっせと おもちを ついています。
ふしぎなことが あるものです。
えりかちゃんは
みんなの ことなんて
すっかり わすれて
しばらく ようすを ながめていました。
うさぎは おたがいに ことばを
かけながら たのしそうに
おもちをついています。
9
それが あまり たのしそうなので
えりかちゃんも ちょっと
おもちを ついてみたくなりました。
そこで
なかまに いれてと いうために
うさぎの そばまで いって
「おつきみ くださ~い」
って いいました。
あれ? ちがったかな?
10
すると、うさぎは
「ほいきた がってん おつきみだ!」
「まかせて がってん おつきみだ!」
と ようきに こえを かけあうと
ついたばかりの おもちを くるくると
まるめ、えりかちゃんの ふくろに
たくさん いれて くれました。
そうして
「いつも しんせつにしてくれて
ありがとう」と いうと
ぴょんぴょん はねて どこかへ
いってしまいました。
11
おねえちゃんたちが あおくなって
かけこんできたのは それからすぐの
ことでした。
えりかちゃんは いまのみた できごとを
みんなに はなして きかせました。
それから
あの うさぎは ようちえんの
うさぎに まちがいはない
ということを つけくわえることも
わすれませんでした。
12
「へえー、そんなことがも あるんだね」
だれかが ぽつりと つぶやきました。
そうして みんなは もういちど
えりかちゃんから もらった おもちを
ふしぎそうに ながめました。
おもちは まるで おつきさま
みたいに まんまるで
まだ ほのかに
ぬくもりが のこっていました。
(おわり)
ディメリットもあるがメリットの方が大きいかな
以上ご覧いただきましたとおり
テキストを単純に12等分してみました。
確かにこのやり方だと
半ば強制的に分割しますので
各見開きごとのテキスト上のボリュームは
ほぼ均一になるかなと思います。
見開きにメリハリがなくなるという
ディメリットも生じますが
1見開きが分担する責任も均されるので
物語の進行に
リズムが生まれるかもしれませんね。
こうして分割した原稿を
全体のバランスに配慮しつつ
練り上げていくわけですね。
どんな作品に仕上がるか
あまり期待はしないでお待ちください。
よろしかったら、あなたも
絵本ストーリーのブラッシュアップ
実践してみてくださいね。
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