絵本作家に必要なのは新しいアイデアではなくアプローチだって?

絵本作家に必要なものは新しいアプローチ 絵本づくりABC
アプローチが大事!

こんにちは、もりのひつじかいです。

今日は前にご紹介した
『絵本の書き方』(朝日文庫)
という本をベースに
絵本を創作する際の心構えについて
考えてみたいと思います。

絵本づくりに関心のある、あなた!
ひょっとしたら創作のヒントが
見つかるかもしれませんよ。

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絵本作家に新しいアイデアはいらない?

では、さっそく
『絵本の書き方』を開いてみましょう。

すると
「題3章 自分の世界を見つけ出せ」
の中に
こんなフレーズを見つけましたよ。

絵本作家が探すべきは
新しい視点、
新しいアプローチであり、
新しいアイデアではない。

『絵本の書き方』73ページから抜粋

著者は、絵本のストーリーに
「新しいアイデアなどはいらない」
と断じています。
それよりも子どもが耳を傾けてくれそうな
おなじみのアイデアを掘り起こし
独自のユニークな視点(アングル)から
アプローチしなさいというのです。

読み聞かせ

絵本のコンクールを突破するためには
新しいアイデアを見つけなければと
思い悩んでいたひつじかいにとって
この言葉はインパクトがありました。


このブログでは、これまでに
3冊の絵本をレビューしてきましたが
そのレビューをたたき台に
それぞれの作品のアイデアについて
振り返ってみたいと思います。


『かいじゅうたちがいるところ』
 のアイデアとは?

→母と子(親子の言い争いの顛末)

『かいじゅうたちの~』レビューはこちら


『きんぎょがにげた』
 のアイデアとは?

→仲間(本来の場所への回帰劇)

『きんぎょがにげた』のレビューはこちら

 

『あいたた山のてての木』
 のアイデアとは

→友情(友を信じての冒険譚)

『あいたた山の~』のレビューはこちら


と書き出してみますと
たしかに使われているアイデアは
いずれも見慣れたものばかりですね。

世界で1000万部も売れた絵本だって
脇役の「かいじゅうたち」が退けば
舞台上にいるのは【母と子】だけ!
というわけですね。

「きんぎょ」が逃げ出したのも
もとをただせば
いつも1匹(ひとり)でいる違和感から
【仲間】のところへと回帰したわけです。

「あいたた山のてての木」への冒険を
後押ししてくれたのは
登場人物(?)たちの【友情】に
ほかならいというわけですね。


ここにあるのは
新しいアイデアなどではなく
新しいアプローチだということですね。

新しいアプロチーを探す

確かに、著者の言葉には納得できます。

子どものためにあらゆる手立てを講じなさい!

とても重要なことが分かりましたので
もう少しページを進めてみましょう。

すると
「第5章 主人公と性格設定」の中で
こんなフレーズにぶつかりましたよ。

絵本作家は
2歳から8歳までの
わずか6年間で
読者を魅了しなくては
ならないから、
一冊の絵本の中でも
あらゆる手だてを尽くす必要がある。

『絵本の書き方』88ページから抜粋

対象が大人であれば
作家に与えられた時間は50有余年はある
というのですね。

でも
子どもはすぐに大きくなってしまうので
タイムリミットはわずか6年!

だから
その子どものハートを射止めるために
あらゆる手立てを講じなさい
新しいアプローチを見つけなさい!
というのです。

大事なポイントはいうまでもなく
「あらゆる手立てを講じなさい!」
というところです。

痛いところを突いてきますね。

子どもという大切な「お客様」のために
魅力的な究極のメニューを
ちゃんと用意していますか?
と問われているわけです。

そう言われて、すぐに思い浮かぶのは
ディズニーランドでしょうか?

ディズニーワールドにはアイデアがいっぱい!

あそこでは
子どもを魅了するためのあらゆる手だてが
日々講じられていますよね。
(大人でも魅せられている人がいます。)

でも
あそこで使われている手法も
新しいアイデアなどではなく
新しいアプローチなんですよね。

〈おとぎの国〉という従来のアイデアに
新しいアプローチで
切り込んでいるんですね。

新しいアプローチで読者の心をときめかす

少し長くなってしまいましたが
あと少しだけページを進めてみましょう。

すると
「第6章 物語の構成ー驚きと満足感」
の中に
こんなフレーズを見つけました。

出だしで読者の心をつかみ、
念入りに計算したペースで
クライマックスへと話しを盛り上げ、
結びでは満足感を与えて
ホットさせると同時に、驚きを与えて
読者の心をときめかさなくてはならない。

『絵本の書き方』101ページから抜粋

なんとまあ、要求事項が多いこと!

たった32ページの絵本で
これだけの要素を
満たさなくてはならないとは!

絵本作家とは
なんともたいへんな職業であります。
しかし、これが絵本に課せられた
使命!なんですよね。

出だしから読者のこころをつかむ。

何しろページ数がありませんから
もたついている暇はないということです。

そういうひつじかいも
絵本のストーリーを書き始めたころは
ここで何度も立ち止まりました。
童話を書いていたときの習慣が顔を出して
物語を説明してしまっていたんですね。

「絵本に説明は不要」
ということを理解するまでに
少し時間がかかりました。
でも、それが分かってからは
物語の世界に
すっと入っていけるようになったんです。

計算したペースでクライマックスへ。

物語の構成のオーソドックスなスタイルは
起・承・転・結だとよくいわれますが
その「承」のパートを
念入りに磨きなさいということです。

『絵本の書き方』の著者も
この中間部が特に大事だと言っています。

ここをしくじると
お話し全体がダメになるとも。

なんとも手厳しい!

そうして「転」、クライマックスへ。

「絵本は常にスリルを与えるもの」

でなければならないということですので
クライマックスには
相応の驚きを用意しなければなりません。
出だしで成功していれば
ここはかなり大胆でもよいとのことです。

そうして「結」、大団円へと向かいます。

驚きと同時に、満足感を与えます。

子どもに不満が残るようでは失敗です。
満足して、ときめいて、安心して
それでようやく
安らかな眠りにつけるのです。

子どもに満足感を与える絵本

絵本の読み聞かせをしている
ボランティアの方々にお聞きしても
この最後の「満足感」というところが
とても大切だと
皆さん考えていらっしゃいます。

この満足感が、次の絵本へと向かう
原動力になっているというのです。

ひつじかいも
しっかり胸に納めさせていただきました。


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