こんにちは、もりのひつじかいです。
今日は、ひつじかいの
「コンクール投稿ライブラリー」の中から
絵本のオリジナル・ストーリー
『やまかじとんとん』をお届けします。
この作品は
絵本コンクールのストーリー部門に
エントリーしたときのものです。
そのままだと、ちょっと恥ずかしいので
今回、大幅に手直ししました。
まだまだ、人様にお見せできるような
出来栄えではありませんが
よろしかったらお読みくださいませ。
ところで、ひつじかいは若いころ
実家のある田舎町で
消防団に入っていたことがあるんです。
そのときに
山火事の現場を何度も経験しています。
日本の山火事は
そのほとんどが人災です。
そして、多くは煙草の火の不始末です。
山火事の現場に入るたびに
「山の動物たちはどうしているのかな?」
と考えていました。
このストーリーは
そうした体験を下敷きにして
書き上げたものです。
題材が山火事ということですので
対象年齢は就学前(5~6歳)くらいを
想定しています。
『やまかじとんとん』(もりのひつじかい:さく)
1
さいしょに いへんに きがついたのは
さすがは はなのいい
イノシシどんでした。
おなじころ
やみに めがきく フクロウじいさんも
あやしいひかりを みつけました。
2
はじめは ちろちろ ちろちろと
ちいさな べろ が みえたっけ
そのうち ぼうぼう かぜに あおられ
あっというまに ひろがったのさ
3
イノシシどんは はなを たよりに
クマゲラさんちへ いちもくさん。
フクロウじいさんは ホウ ホウ と
カモシカくんを よびました。
いいかい よくおきき カモシカくん
おまえの あしは いちばんつよい
やまの なかまを みつけだし
はやく にげろと つげるのだ
4
カモシカくんは
おおきく ひとつ うなづくと
じまんの あしで かけだしました。
かざしもにむかって まわりこめ
かざしもにむかって まわりこめ
みんなには そう いうんだぞ~
5
ねているところを おこされて
クマゲラさんは おおあわて。
ねぼけ まなこで きにのぼり
とんとんとんと おとたかく
いそぎの おしらせを はじめました。
みなさん みなさん おきるのよ
あさではないけど おきるのよ
かじ よ かじ よ やまかじよ
とんとん とんとん やまかじよ
こつこつ こつこつ やまかじよ
6
ああだ こうだと いってるあいだに
ひは ばりばりと えだを やき
みきを こがし
ごうごうと かぜに とばされ
やまの うえへと うつって いきます。
7
タヌキのぼうやは しりもちつくし
サルのとうさんは きから おちるし
キツネのねえさんは けむりを すいこみ
ゴホゴホ こんこん こんこんこーん。
それはもう
うえを したへの おおさわぎです。
8
カモシカくんの しらせを きいて
クマのかあさん やってきた。
それなのに
あら たいへん!
クマのこちゃんを おいてきちゃた!?
9
まっさきに
イノシシどんが とびだした。
あとから みんなも おいかけます。
お~い お~い クマのこちゃん
どこにいるんだ へんじをしとくれ
10
あ あのあなだ!
クマのこちゃんの ちいさな こえを
ウサギの みみこが キャッチした。
でも どうしよう?
まわりは どうどう ひのうみ です。
11
こうなれば
ひを くいとめるしか ありません。
イノシシどんは
するどい きばを つきたてて
ばり ばり ばり と
やまの しゃめんを きりさきました。
12
それを みとどけ アナグマかあさん
すばやく あなに とびこむと
おみごと ぶじに
クマのこちゃんを たすけだしたのでした。
13
みんなが あんしんする ひまもなく
ひは おりからの かぜに あおられ
ぱあっと ひのこを まいあげます。
かぜの ながれを しっかり かくにん
かぜの ながれを しっかり かくにん
フクロウじさんは
ちからをこめて さけびますが
そのこえは
ほのおに のみこまれて しまいます。
14
みんなは かざしもに むかって
ひの はらを
みぎへ みぎへと まわりこみ
やっとこさ
たにがわへと たどりついたのでした。
そうして あつく ほてった からだを
つめたい おみずで ひやしてから
やまの ふもとへ おりたのでした。
15
まっかな よるが あけました。
ひは ひとやまを はい にして
まだ ぷすぷすと けぶっています。
ぜんいん ぶじで なによりだ
ぜんいん ぶじで なによりだ
でも わしらには わからない
どうして おやまが もえるのか?
みんなは
あたらしい おうちを みつけるために
むこうの おやまに むかって
だまって あるいて いきました。
(おわり)
オリジナル・ストーリーとは言っても・・
もりのひつじかいの『やまかじとんとん』
いかがでしたでしょうか?
絵本のオリジナル・ストーリーとは
いっても
やはり
いつか、どこかで見聞きしたシーンに
影響を受けているかもしれません。
完全なオリジナルというものを
紡ぎ出すのは
とても難しいなと感じています。
ところで
実際の山火事の現場では
逃げて行く動物たちを目撃したことは
ありませんね。
彼らはとても鼻がいいので
この絵本ストーリーで想像したような
あわただしいシーンは
消防団が到着するはるか前に
起きてしてしまっているのでしょう。
丸焼けになったお山には
しばらくは棲めませんので
実際に彼らもたいへんですね。
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