千住博の『星のふる夜に』文字のない絵本はどう読む?

降るような星空 絵本おすすめの1冊
星のふる夜の物語

こんにちは、もりのひつじかいです。

今日は
絵だけがあって
まったく文字が書かれていない
そんなサイレントな絵本の読み方
つきあい方について
考えてみたいと思います。

あなたはこの手の絵本を
どんなふうに
読み聞かせていらっしゃいますか?

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日本画家・千住博が描いたファンタジックな絵本

本日の教材は

絵本『星のふる夜に』表紙

『星のふる夜に』
(千住博・作/富山房/1994年)
です。

著者の千住博さんは
国際的にも知られる日本画家です。

最近、特に耳目を集めているのが
千住さんの新作襖絵が
高野山金剛峯寺に奉納される
という話題でしょうか。

総延長17メートルの『断崖図』と
同25メートルの『瀧図』の二対が
長らく白襖(しろぶすま)となっていた
茶の間と囲炉裏の間に描かれる
と、こういうわけですね。

この絵本は

そんな千住博士さんの幻想的な感性が

存分に発揮された一冊です。

 

ちなみにこの絵本
剣淵町絵本の館(北海道)の来館者が選ぶ
第4回「けんぶち絵本の里大賞」(1994)
にも選出されています。

さて
絵本の解説はこれくらいにしまして
肝心の物語について
少しお話しをしておきましょう。

星のふる夜の冒険譚

絵本のストーリーは
いたってシンプルです。

森で
パパとママと暮らす子鹿が
ある夜流れ星を目にします。

森から見上げる流れ星

流れ星は
森の向こうの木立を縫って流れる河の
その下流のあたりに
落ちたように見えました。

好奇心を抑えきれない子鹿は
ママとパパが眠りについたころ
そっと寝床を抜け出して
川に沿って下っていくのでした・・・。

子鹿が森を抜けて進んで行くと
遠くに街の灯りが見えてくるんですね。

冒険心にあふれた子鹿は
もしかしたら
流れ星のかけらかもしれないと
果敢に街の中へと入っていきます。

ところがどうしたことでしょう
星のかけらなど
どこにも落ちてはいません。
それどころか
し~んと静まり返った深夜の街に
ネオンサインだけが
わびしく瞬き続けているだけです。

少し心細くなった子鹿は
森に帰ろうと歩き出します。
でも途中で
道に迷ってしまうんですね。

迷いに迷って空を見上げると
また
流れ星が・・・。

とても賢い子鹿です。
流れ星の流れ方をしっかり見極め
さっきとは別の方向に進んでいくのです。

 

あたりは次第に白みはじめ
やがて夜が明けてゆきます。

すると
河のほとりに
子鹿を探すパパとママの姿が・・・。

朝まだきの森にたたずむ3つのシルエット
星の降る夜の子鹿の冒険は
こうして無事に終わったのでありました。

ひつじかいの読み方はこう!

ストーリーはいたってシンプル
などと言っておきながら
結局全てを語ってしまいましたが
ひつじかいの読み方は
それこそ本当にシンプルです。

全体の流れを頭に入れておいて
その日のフィーリングにまかせ
即興で語っていくだけです。

テクニックなんて
まったく何もありません。

ところが
ジャズのセッションではありませんが
即興の読み聞かせを繰り返すうちに
言葉がだんだん固まっていくんですね。

子どものリクエストに応えながら
読みこめば読みこむほどに
言葉はどんどん短くなっていきました。

「絵」に語らせたんです。
といいますか
「絵」が語り出したんです。

そうなると
子どもはますます「はまって」
ひつじかいは結局
〈星の降る夜のセッション〉を
トータルで200回くらいは
やらされたかもしれませんね。(笑)

この絵本を即興で語ってみる!

絵本のページを
コピペするわけにはいきません。

だから
ひつじかいが創作した言葉を
ここに書き連ねたところで
あまり意味はないかもしれません。

でも
あなたが
いつかこの絵本を手にされた時のために
参考までに記しておきましょう。

絵本のボリュームは
鉄板の32ページです。

①あおい よるが おとずれました。

②みんなが そっと 
 ねむりにつくころ・・・。
(あ ながれぼし!)

③たしか あっちに いったはず・・・。

④あれ どこだろう?
 こっちで いいのかな・・・?

⑤あ あれだ あれだ。

⑥こっちだ・・・。

静まり返った夜の街

⑦だあれもいない・・・。

⑧どこにも おちてない・・・。

⑨おかしいな・・・?
 ここじゃ ないのかな?

⑩ここはどこ・・・?
 おそらのうえ かな?
 それともした かな?

⑪ぼく まいごになっちゃった・・・。

 

⑫あ ながれぼし!
 あっちだ!

⑬だいじょうぶ・・・。
 きっと だいじょうぶ・・・。

⑭ほら! もうすぐだ!

朝日の中にたたずむ子鹿

⑮ママ! パパ! ぼくだよ~。
 しんぱいかけて ごめんなさい。

⑯ぼくね 
 ながれぼしを おいかけたんだ。

 そう こわくなかったの?
 うん へいきだったよ!

あさは もう そこまで きています。

文字のない絵本には
「スタンダードな読み方」というものは
ない
というのがひつじかいの考えです。

こういう「静寂に耳を澄ます」ための
絵本を読み聞かせるときは
絵というコンテンツの力を
信じる切ることが大切ですね。


千住博さんのファンタジックな絵本
『星のふる夜に』は
即興で読み聞かせるための
恰好のテキストではないでしょうか。


あなたも
文字のない絵本の読み聞かせに
チャレンジしてみてください。
きっと満天の星の降る夜に
出会えることでしょう。

 

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