創作絵本の一例として歴史に題材をとったストーリーを公開!

こんにちは、もりのひつじかいです。

 

先ごろひつじかいが出版した絵本

本のアイコンAmazonn
『もりのしょうぼうだん』

(2020.10/みらいバブリッシング)

は出版社のカテゴリーでいうと
「創作絵本」ということに
なるみたいです。

確かにAmazonの通販サイトでも
創作絵本シリーズと銘うたれて
紹介されていますよね。

 

では
「創作絵本」とふつうの「絵本」では
いったい何が違うのか・・?

 

・・なんてことを議論し始めると
話題が脱線してしまいそうですので
今日のところはスルーして・・・

 

「創作絵本」と呼ばれる絵本に関わる
ひつじかいの最新作

(といいましても
以前このブログにアップした
『おやまのたいしょうだれでしょう』を
絵本ストーリーコンテストの投稿用に
リライトしたものですが・・)

をその一例として
お話ししてみたいと思います。

 

「絵本」にしろ「創作絵本」にしろ

本来は、その題材(モチーフ)に

制約というものはないはずだと思います。

 

今回お伝えするストーリーの事例では
モチーフを戦国時代に求めています。
世に知られた三大合戦のひとつ
「関ヶ原の戦い」を下敷きにしています。

 

創作絵本の例ということですと
やや異質ということになるのかも
しれませんが
発想を転換した一つの例として
お読みいただければうれしいです。

 

関が原を「野猿公園」に置き替えて-

さるさるがっせん 
~しもざきやまのたたかい~

 

※このお話しのオリジナル・ストーリー
『おやまのたいしょうだれでしょう』は

こちらからご確認ください。

 

※黒字はいわゆるト書きです。

【見開き1】

ここは しもざきやま 
やえん(野猿)こうえん。
きのう 15だいボスザル ヒデが

怖い猿 

とつぜん あのよに めされました。
あとには ひとりむすこの ヒロが
のこされました。

こんもりとした高台〈おやま〉に
忌虫(忌中の誤り!)の提灯が
かかげられています。
沈鬱な面持ちで〈おやま〉を降りてくる
ファミリーの面々。

「なんでもさる たいわんバナナを
 たべすぎたらしいわ・・・」
「めぇ~めぇ~うめ~と ひょうばんの
 あのバナナをかい?」
「おれもさる たべてみたいな」

そんな噂話しが聞こえてきます。
中に1匹、天を仰いでいる猿がいます。
ヒデの腹心、石田ジブ醤油(ジブ)。

やや離れたところから、これらの状況を
冷ややかに見つめるグループがいます。
No2の得川ナイフ家康(ナイフ)と
その取り巻き。
(以下「グループ」と呼びます。)

ナイフはでっぷりと肥えた老猿です。

【見開き2】

ファミリーの様子をながめながら
ゆっくり移動を開始するグループ。
彼らがめざしているのは
もちろん〈おやま〉。

そんなナイフたちの前に
さっと立ちはだかる若手の一団
(イチマツ、クロ、マゴロク、サンザ、
ヒョウブたち)。

ナイフらは、彼らを完全に無視し
素早くその脇を通り抜けると
どかっと〈おやま〉に
腰を据えてしまいます。

猛然と抗議をするジブらファミリー。
(何故か土佐弁。)

「きが はやいがよ ナイフ!
 まだそこは おまんのイスと 
 きまったわけではないぞね!」

だがいくら抗議をしても、しょせんは
「猿の耳に念仏」でしかない。

【見開き3】

ジブたちの こうぎは ひましに 
はげしさを ましていきます。

いいかげんうんざりしたナイフは
ファミリーの中から脈のありそうな
クロに目をつけ、台湾バナナを餌に
〈おやま〉へ呼び出し
こんなふうに話しを切り出します。

「クロよ たいわんバナナが
 ほしいかい? 

そんなバナナ

ほしけりゃ すきなだけ あげようぞ。
そのかわり おまえのなかまを 
こっちの みかたに つけておくれ」

クロは抜け目なく辺りを見回し
合点のしるしに大きく頷きます。

「ジブのわるくちを みんなに
 いいふらして なかまわれをするように 
 しむけましょう」

黙って笑い合うナイフとクロ。

【見開き4】

ファミリーのひとり
マゴロクに耳打ちをするクロ。
その頬を台湾バナナでやさしくたたく。

同じくサンザに何かを訴えるクロ。
またしても台湾バナナを取り出して・・

ヒョウブの肩をなれなれしく抱くクロ。
バナナをうれしそうに抱えるヒョウブ。

イチマツにバナナを差し出すクロ。

「ふん!」

といってそれを突き返すイチマツ。

「この イチマツさまは そんなもので
 つられはしないぞ!つりぼりのおさかな
 とは わけが ちがうんだからな」

そう言いながら
一旦突き返したバナナを奪い返し
美味そうにむしゃぶりつくイチマツ。

ほくそ笑むクロ。

【見開き5】

明くる日の朝、グループの面々を前に
(この中にはマゴロクたちの顔も・・)
ナイフは次のように語ります。

 

「わしのつよさを みせつけるためには
 こちらから けんかをうってはならん。
 うられた けんかを かうのじゃ。
 あいてが そのきになるよう わざと
 おやまをはなれ いったん えどやまに 
 うつる。よいな!」
「は!」

と平伏するグループの面々。
次々と〈おやま〉を下り



一本橋を渡って去っていきます。

【見開き6】

ナイフが いなくなったのを 
これさいわいに ファミリーは
ヒロを おやかたにすえて 
おやまを とりもどしました。

はたはたと翻る桃太郎旗。よく見ると
千成瓢箪の下手な絵が描かれています。
熱心に絵を描いているヒロ。
今手掛けているのは
腹の突き出たナイフの似顔絵? 

目を細めて見守るジブ。
そこへギョウブが
慌てた様子でやって来ます。
ギョウブはジブの数少ない親友です。

「ジブ こまったことに 
 ぶちょう れんちゅうが 8にんも 
 ひきぬかれちゃった!」
「しんぱいないがよ ギョウブ。で 
 まだ のこっちゅうは だれならや?」
 
「え~と・・・」

真剣な顔で、指を折り始めるギョウブ。

【見開き7】

大勢集まった面々を前に力が入るジブ。 

「おやまは まっこと ヒロさまの 
 ものちや。ナイフらに 
 わたしとうはないき!」
「そうよ!」
「そうともよ!」

面々から大きな賛同の声があがります。
そうしてー

おやまの まわりに あつまった
サルたちが いっせいに ときのこえを 
あげはじめました。

【見開き8】

その騒ぎを遠くから聞きつける
えどやまのサルたち。
クロはナイフに向かってこう言います。 

「ボス そろそろ うられた けんかを
 かいにいく ことと いたしましょう。
 さいくはりゅうりゅうに ございます」
「うむ!」


と頷くナイフ。

「とんだ さるしばいじゃな!」

【見開き9】

「なかせてみしょうホトトギス」などと
大書されたのぼり旗が、風にあおられ
大きくゆれています。

おやまを まもる ファミリー 
そのかず 700!
おやまをかこむ グループ 
そのかず 500!
りょうしゃ みあって まったなし!

ぷ ぷ ぷ ぽーん。(時報の音)

あさ しちじの じほうを あいずに 
にらめっこ がっせんの 
はじまり はじまり~。
このしょうぶ あいてより 
ちょっとだけ こわいかおをしたほうが



かち!
それ あっ ぷ ぷ~!
あっ ぷ ぷ~!


やく1200匹のさるるるるが
1対1で向かい合い
一斉ににらめっこを始めました。

負けた方は万歳をしながら退場します。

次から次と勝ち残った者同士の戦いが
繰り広げられていきます。

【見開き10】

あれ あれ いったい 
どうしたことでしょう?
ファミリーの なかまの 5ぶんの1が 
みなみやまに すわったまま 
しらんぷりを しています。

まつのきに のぼった れんちゅうは 
どこで てにいれた ものやら 
もぐもぐ バナナを ほおばるしまつ。

それでも かずにまさる ファミリーの 
まもりは かたく あいてを つぎつぎ
まかしていきます。

【見開き11】

とそのときです。バナナをたべおえた 
まつのきぐみの れんちゅうが 
とつぜんきからおりて おやまにのぼり 
なかまにむかって
ちょー おもしろいかおを 
してみせたものですから ここまで 
ふんとうしてきた ファミリーも 
たまったものではありません。

わっはっはっはっは~。

笑う猿

わっはっはっはっは~。

はらを かかえて わらいだすものが 
どんどん どんどん どんどん ふえて 
こうなると もう がっせんどころの 
はなしではなく しょうぶは 
あっというまに ついてしまいました。

【見開き12】

まけたものは だまってたちさる! 
という しもざきやまの おきてに 
したがい ファミリーは なくなく
おやまを はなれて いきました。

最後まで残っていたジブも
ヒロをだっこすると、しょんぼり
〈おやま〉を下っていきます。

そんな様子を尻目に見ながら
笑い合っているナイフとそのグループ。


ところが しょうぶに かった はずの
グループの なかから おもいがけない
こえが きこえてきたのです。

「なんだか 
 かわいそうになってきた・・・」

「おれたち ほんとうは 
 なかまだった はずだよね・・・」

「どうして こんなことに 
 なっちゃったんだろう・・・?」

【見開き13】

それをきき あせったのはナイフです。
ナイフは とつぜんダッシュをすると 
あっというまに おやまに かけのぼり
こうさけびました。

岩を動かす

「おやまのたいしょう わしひとり!」

それを
ぽかんと見上げていたイチマツは
猛然と〈おやま〉によじ登ると
あっという間に
ナイフを追いはらってしまいました。 

「ちがうよ ちがう! 
 ぼくは そういうことのために 
 きみに みかたを したわけじゃない!」

【見開き14】

イチマツを中心に
〈おやま〉を整備する、マゴロク、
サンザ、ヒョウブ。
トンボを使って地ならしをしています。

「おやま なんてものが あるから
 ここで バナナを
 たべたくなって しまうんだ。
 はじめから こんなものは 
 ないほうが いいにきまっている!」

イチマツの言葉に頷く面々。


【見開き15】

そこへクロがやってきて
ぺこんと頭を下げます。


「ごめんよ ごめん。
 ぜんぶ ぼくのせいだ」
「もういいよ がっせんは 
 おわったんだから・・・」

 

(これからは おたがいに もっと 
 なかまを しんらい しような)



ジブが ひょっこり あらわれたなら
そんなことばで むかえてやろうと
イチマツは わくわくしながら
ジブがいそうな ささやまの あたりを 
じっと みまもり つづけるのでした。

【後付】

たいわんバナナを食べまくっている
ナイフ。



「ん?」と読者に気がついて、一言。

わしゃあ あきらめんぞ!
こうなれば なくまでまとう
なんとやらじゃ。

へっ! いそぐ べからず。

 

必ずしも歴史に忠実である必要はない

いかがでしたでしょうか?

 

創作絵本の例ということで
わが国の歴史に題材を求めた
ひつじかいの自作ストーリー
『さるさるがっせん~』を
お伝えいたしました。

 

オリジナル・ストーリーに比べて

史実を踏まえたうえでの

創作上の飛躍(想像の比重)が

かなり大きくなったように感じます。

 

創作絵本というカテゴリーを
意識したからというわけではありません。
歴史に題材は求めても
そのエッセンススさえ見失わなければ
必ずしも歴史に忠実である必要はないと
思えるようになったからです。

 

創作絵本の新たな切り口の例として
どうぞご参照ください。

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