こんにちは、もりのひつじかいです。
ひつじかいのように
ストーリーだけを書いている
絵本のクリエーターにとっては
「テキストコンテスト」
というのは
とてもありがたい企画ですね。
たとえ上手に絵が描けなくても
絵本という素敵な創作活動に
本格的に関わることができるなんて
なんともうれしい限りです。
そこで今日は
テキストを創作するための
【おはなしの種】ともいえる
「ネタ」づくりについて
ひつじかいの出版化された絵本
『もりのしょうぼうだん』と
新たに書き上げた作品
『さるさるがっせん
~しもざきやまのたたかい~』
を下敷きにして
お話ししてみたいと思います。
『もりのしょうぼうだん』のテキストは
→こちらからご確認ください。
なお『さるさるがっせん~』は
これから審査が行われる
絵本のテキストコンテストに
エントリーしたばかりで、それこそ
できたての「ほやほや」です。
『さるさるがっせん~』のテキストは
→こちらからご確認ください。
最初に『もりのしょうぼうだん』のネタから
絵本『もりのしょうぼうだん』のネタは
こうです。
☆表面的には-
山火事に立ち向かう
森の動物たちの勇気と連帯の物語
☆でも本当のネタは-
自分たちにしか果たせない
真の役割に気づくための物語
いまでこそ
こんなふうにスッキリまとめていますが
ここに落ち着くまでには
意識(マインド)の揺れというものが
かなりありました。
参考までにその紆余曲折ぶりを
次に書き出しておきましょう。
*最初に思いついたことは-
山火事が発生したときに
山や森に棲む動物たちは
いったいどうしているのかな?
という問いかけでした。
きっと逃げ出すんだろうな?
だけど、いったいどこへ?
*逃げてるばかりじゃ絵本にならない
このネタをもとに書き上げたのが
『やまかじとんとん』という
ストーリーです。
しかし、逃げてばかりでは
どうしても盛り上がりに欠けました。
『やまかじとんとん』のテキストは
→こちらからご確認ください。
絵本の出版化に向けて
相談にのってくださっていた
出版社のアドバイスなどもあり
「逃げる」話しではなく
「立ち向かう」話しに方針転換しました。
*動物たちが火事を消す話しにしよう!
火に立ち向かうと一口に言っても
では、どうやって?
どんな方法で火を消せばいいのか?
道具もないのに・・・。
と、そこまで考えたら
すっかり行き詰まってしまいました。
*道具を使ったっていいじゃない!
そうです
そんな単純なことに思い至るまでに
何度何度もテキストを書き直しました。
絵本の中の動物は、つまるところ
人間の姿を仮託されているのだから
彼らが消防をやったって
全然不自然ではない!
という
絵本本来の仕組みに気がついたとたん
イメージがどんどんふくらんで
最終的に「消防団」の登場
ということになったわけです。
*緊迫感を高めるために対立軸を導入
さらに物語にメリハリをつけるために
〈もりのしょうぼうだん〉に対し
〈まちのしょうぼうだん〉という
対立軸を置くことにしました。
そうして親友同士の
タンタ(たぬき)とコンタ(きつね)を
〈もり~〉と〈まち~〉に所属させ
いやがおうにも緊迫感が高まるように
シチュエーションをアレンジしたのです。
こんなプロセスを経て
このセクションの冒頭でお伝えした
絵本のネタがまとまっていきました。
『さるさるがっせん~』のネタはこう!
いっぽうの
『さるさるがっせん』のネタについては
『もりのしょうぼうだん』ほど
複雑なプロセスはありません。
このお話しの発端は
ひつじかいが歴史好きということで
なかでも戦国時代のファンであり
「関ヶ原の戦い」がものすごく気になる
という前提がありまして・・
それを絵本で表現することはできないか
というのがそもそもの始まりです。
*子どもに「関ヶ原」は難しい?
関ケ原の戦いといっても
がちんこの戦(いくさ)は
わずか半日で決してしまいます。
しかし、そこへ至るまでの経緯は
実に複雑怪奇なのです。
それを子どもに伝えるのは至難の技。
絵本のネタにはならないな。
と、一度は諦めましたが
登場人物(?)を動物にして
しかも舞台を高崎山(別府市)のような
野猿公園に設定したらどうだろうか
と思い直して
テキストづくりに挑戦しました。
一旦書き上げ、このブログでも
『おやまのたいしょうだれでしょう?』
というタイトルで公開しましたが
話しの冒頭に置いた
ボス猿の死のエピソードが深刻過ぎて
絵本のストーリーとしては
課題が残りました。
※『おやまのたいしょう~』のテキストは
→こちらからご確認ください。
*歴史に忠実にならなくてもいいのでは
歴史に忠実であろうとするあまり
話が難解になってしまったのです。
そこで考えたのが
歴史からはエッセンスだけを
汲み取ればどうかということです。
この考え方で押していけば
史実の制約から解放され
想像の余地が広がります。
そうやってリライトしたのが
『さるさるがっせん~』です。
「関ヶ原の合戦」の後の
西軍(豊家)の凋落を目の当たりにした
主人公イチマツ(福島正則)の悔悟の念を
物語後半にオーバーラップさせています。
もちろんこの部分は
史実では伝えられていませんので
ひつじかいのまるっきりの創作!
ということにはなりますが・・・。
でも、ここには大切なエッセンスがあると
ひつじかいは感じています。
で、このお話しの肝
絵本のネタは、こうなります。
☆生き馬の目をも抜くといわれる
戦国の世でなくとも
仲間のオネスティを信じ切ることには
おそらく深い意味がある。
信頼はきっと
そこからうまれるはずだから。
さて、ここまで、ひつじかいの
オリジナルテキスト(ストーリー)を
たたき台に、絵本のネタについて
考えを述べてきました。
絵本という文芸の「畑」は
限りなく広く
またその土壌はとても豊かです。
どんなネタ(種)を蒔いても
きっとおいしい野菜が育つことでしょう。
あなたもいろいろ工夫してみてください。
思いもかけない作物が
収穫されるかもしれません。
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