こんにちは、もりのひつじかいです。
これまでにひつじかいは
オリジナル絵本ストーリーとしまして
『あひるさんがとおりま~す!』
(オリジナル版)
『あひるさんがとおりま~す!』
(リライト版)
の2本を公開してきましたが
今日はさらに
『あひるさんがとおりま~す!』の
全面書き直し版!を追加公開します。
3連続「ボツ」の経過をたどることで・・
この『あひるさんがとおりま~す!』
全面書き直し版は
【絵本の出版】をめざし
試行錯誤の果に書き直したものですが
またしても「ボツ」ということで
お蔵入りになってしまったものです。
→詳しくはこちらの記事をお読み下さい。
この絵本ストーリーでは
「いじめの発芽期」ともいわれる
子どもの「いじわる」をテーマに
社会性を浮かび上がらせたつもりでした。
しかし
読み手である子どもたちのニーズに
マッチングしないという判断からか
「あひるさんが意思を持ちましたね」
の一言で、ジ・エンドとなった作品です。
この3作はいずれも「ボツ」
はっきりいってしまえば落第!という
悲しい命運をたどったことになります。
ひつじかいの【絵本の出版】を
コーディネイトしてくれている
出版社(担当者さん)のアドバイスにより
作品がどのように変化し
そして最終的に「ボツ」となったのか
この一連の記事をお読みいただくことで
そのあたりの事情が
浮かび上がってくるものと思います。
絵本のストーリーに挑戦している
あなたには
ものすごく参考になると思いますよ。
『あひるさんが~』全面書き直し版はこちら!
1
くうちゃんは おふろが だいすき。
2
あるひ いつものように
おふろばへ いくと
あひるさんが あそんでいました。
「こんにちは ぼく くうちゃん。
きみは だれ?」
「こんにちは。わたしは あひるよ
おふろの あひる」
3
「ふ~ん。
ここで なにを しているの?」
「ごらんのとおり
ばしゃ ばしゃ ばしゃって
やっているのよ」
「わ~い それって たのしろそう!」
よかったら いっしょに どうぞと
あひるさんが さそって くれたので
くうちゃんは ゆぶねに はいると
ばしゃ ばしゃ ばしゃ と
やりました。
4
それからというもの くうちゃんは
おふろが もっと もっと すきになって
まいにち まいにち
あひるさんと あそびました。
むちゅうになって あそんでいると
せんがはずれて
おふろが からっぽに
なってしまうことも ありました。
(わ~い わ~い からっぽだ!)
5
ところが きょうは
なんだか ようすが へんです。
くうちゃんが とつぜん
なきだして しまったのです。
「どうしたの くうちゃん。
なにが そんなに かなしいの?」
と あひるさんが やさしく
こえをかけてくれました。
6
「あのね あひるさん。
ぼく きょう ようちえんでね
なかまはずれに されちゃった!」
くうちゃんの めから ぽろりと
おおきな なみだが おちました。
みんなで かくれんぼをしよう
としたら―
「くうちゃんなんか
みつけられっこないから
そこで みていて」って
いわれてしまったんだって。
7
「そんなことがあったのね・・」
あひるさんは にっこり わらうと
「ちょっと おでかけ しましょうか」
と いいました。
8
「さあ わたしの せなかに のって」
「せなかに?」
「そうよ」
くうちゃんが せなかに のると
あひるさんは ずんずん ずんずん
おおきくなって
ぞうさんくらいに なりました。
「わ~い とっても よく みえる!」
くうちゃんの こえは はずんでいます。
9
あひるさんに のって
くうちゃんが やってきたのは
ようちえんの おにわ。
かくれんぼが いま
はじまったところです。
「さあ くうちゃん おともだちを
さがしてみて」
「え、ぼくが?」
「そうよ」
10
「よ~し。あっ いた いた!
すべりだいの うしろに ひとり!」
「みつけたら なんて いうんだっけ?」
「え~と、そうだ。
み い つ け た!」
(「あ!」と
おどろいたかおの おともだち)
「ほかにも いるかな?」
「あそこ! タイヤとびの
タイヤの うしろに ひとり!
み い つ け た!」
(「え?」と
ふしぎそうなかおの おともだち)
11
「さくらの きの うしろにも ひとり!
み い つ け た!」
(「しまった!」と
くやしそうなかおの おともだち)
「それから ぼくの うしろにも
ひとり!」
くうちゃんは ぱっと うしろを
ふりむくと
「み い つ け た!」
と いいました。
12
おおぜいの おともだちが
あひるさんにのった くうちゃんを
ぽかんと みあげて います。
くうちゃんは にこにこ えがおで
てを ふると
おおきな こえで いいました。
「あひるさんが とおりま~す!」
13
「くうちゃん おそくなって
ごめんね」
どこからか パパのこえが
きこえてきました。
そして ガラッと おふろのドアが
ひらきました。
「あ!」
(「しまった!」)
くうちゃんは まだ
あひるさんに のったまま・・
14
「パパ おふねで あそぼうよ」
くうちゃんは なにくわぬ かおで
そういいました。
「へんだな~」
パパはまだ くびを かしげています。
くうちゃんは おかしくて おかしくて
わっはっはと わらってしまいました。
15
パパは くうちゃんを だきよせながら
「くうちゃんが げんきなら
それで いい」
そういうと
ぎゅっ ぎゆっ ぎゅっ と
してくれました。
16
あれっ、あひるさんは?
(くうちゃんと パパのあいだに
はさまれて めを しろくろ
させていますよ・・)
「パパ こんど かくれんぼ
しようよ!」
「やろう やろう!」
ふたりの わらいごえは
ママのところまで きこえてきます。
(おわり)
「ボツ」となって気がついたこと
『あひるさんが~』の全面書き直し版が
「ボツ」となって、ひつじかいは
そもそも自分は
「あひる」の物語を書きたかったわけでは
ない!
という事実に気がついたのでした。
当初の絵本ストーリーでは
父と子のふれ合いを描いていたのです。
それが
何度も書き直しをしているうちに
次第に物語は「あひる」に偏重しはじめ
最後はとうとう
このような形になってしまったのです。
これは「父と子」というテーマを
しっかりホールドしていなかった
ひつじかいの初歩的なミスです。
*テーマ:父と子
*エピソード:楽しいお風呂の思い出
ここを押さえたうえで
テーマへと至る新しいアプローチを
模索しなければいけなかったのです。
テーマの「父と子」については
別の視点、別のアングルから
再度アプローチをしようと考えています。
最初の絵本ストーリーが「ボツ」となり
全面書き直しを行なわなければならない
そんなときは
特に注意が必要ですね。
今度こそと意気込むあまり
初心を忘れてしまうのです。
絵本作家に新しいテーマはいらない
必要なのは新しいアプローチ!
絵本ストーリーって奥が深いなと
つくづく思うこのごろです。
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