こんにちは、もりのひつじかいです。
絵本づくりに限らず
創作の中で頻繁に使われる「会話」。
創作を成功に導くためにも
会話の使い方に上達したいものです。
今回はこの創作上の会話について
苦手意識を克服するための
何かヒントになるようなものはないか
ひつじかいの体験談も交えながら
探っていきたいと思います。
絵本のストーリーを書くとき
あなたは会話について
何か意識はされていますか?
それとも
さらりと通り過ぎていますか?
オリジナルな会話が書ければ
絵本作家は近い!
なんてことはありませんけれど・・
「会話」はお話しを引き立てる魔法の言葉?
ひつじかいは大学時代
学生演劇のサークルに所属していました。
そこではもっぱら
「台本」の制作を担当しましたので
会話ってすごく気になりますね。
と言いますのも
お芝居の台本はそのほとんどが
会話=科白(せりふ)で
成立していますので、なおさらです。
このときの名残があるせいなのか
今でも絵本のストーリーを書いていると
「会話と地の文とのバランス」
ということが
とても気になります。
会話の分量を多くすると
お話しのテンポはよくなりますが
中身が軽々としてしまって
ストーリー自体が
薄っぺらに感じられてしまいます。
だからといって会話をセーブすると
今度はなんだか重た過ぎて
全体的に
堅苦しい雰囲気になってしまいます。
やはり
「会話と地の文とのバランス」
という課題は
避けて通れないように感じます。
お話しのどの部分を会話で組み立て
どこを地の文でいくか
頭の片隅で問答を繰り返しながら
ストーリーを仕上げていきます。
全ては現場合わせの作業になります。
この配分はおそらく
個々の作品によっても異なるのだろうと
ひつじかいは考えています。
先達の
完成された絵本の数々を読んでみると
こうした配慮が絶妙ですね。
多からず少なからず
もう「これしかない」という
ぎりぎりのところまで
会話を彫琢しているように感じられます。
会話のオリジナリティーが光っています。
これらの作品は
時代を遥かに超えて輝き続けています。
「会話」と一口に言っても狙いは様々
絵本の中の会話といっても
作者の狙いはまちまちだと思います。
たとえば
会話で-
*お話しの背景を簡潔に説明する
*お話しが展開するきっかけをつくる
*お話しをスムースに動かす潤滑油代り
*優しい言葉でお話しの核心に迫る
*Q&Aの役割を含ませる
*その場の雰囲気をがらりと変える
*会話そのものの楽しさを匂わせる
などなど
これくらいはスラスラと出てきますね。
このほかにも
細かいテクニックまで入れれば
きりがありません。
ひつじかいも
こうした効果を引き出すために
意図的に会話を導入するわけですが
的を得ているかどうかとなると
確かに不安な部分はあります。
そういうときは
こんな手を
使ってみるといいかもしれません。
ひつじかいが取り入れている手法を
あなたに
こっそり伝授しちゃいますね。
なんて
かなり
もったいぶった言い方になっていますが
こたえは簡単です。
「二通りの方法で書いてみる」
ということなんですね。
どっちがいいか黒白(こくびゃく)を
はっきりさせるために
かなり大胆にかき分けるのがコツです。
最初に
会話を主体にお話しを書いてみます。
それから次に
会話を極力セーブして
書いてみるんですね。
実験的に
まったく会話を使わずに書き上げる
ということをやってみても
いいかもしれません。
絵本のストーリーは
童話に比べれば比較的短いので
それほどの負担にはならないかなと
思っています。
しかし、それでも負担!
て感じられる場合は、ゴメンナサイです。
確かに労力は倍になるかもしれませんが
これをやってみると
会話が多いパターンと
少ないものとで
どちらの世界感がしっくりくるか
かなりはっきりするんですね。
当然
しっくりくる方の世界観を
育てていくことにします。
会話を媒体として
本質(エッセンシャル)に
肉薄していきます。
これを実行すると創作に要する時間を
かなりショートカットできますので
あなたにも
ぜひ試して欲しいと思います。
「会話」の教材はこんなところにも・・・
会話を導入すると決めても
ありきたりな
オリジナリティに欠ける会話が続けば
作品のテンションは下がってしまいます。
そこで
会話そのものの
クオリティを高める工夫をする必要が
あると思うんですよね。
ひつじかいの場合は
こんな会話もヒントにしたりします。
たとえば
電車の中の会話・・
ひつじかいは
基本的に〈アナログ人間〉ですから
電車の中でスマホはいじりません。
その代わり
すぐに何かしらの「本」を取り出します。
活字でも読んでいないと
退屈でしかたがないんです。
ところが
折悪しく通勤・退勤時間帯に乗り合わせ
満員すし詰めの極限状況の中では
「本」など
取り出すどころの話しではありません。
そんなときは仕方がありませんので
目を閉ざし心を閉ざして
「私は貝になりたい」状態になります。
でも身体の構造上
耳まで閉ざすわけにはいきませんので
こんな会話が聞こえてくると
聞くとはなしに聞いてしまいます。
会話の主は
そんなに若くはない男女二人連れです。
「最近おれさ
死んだおやじの夢をよく見るんだわ」
「へえ-」
「亡くなってもう3年になるんだよ」
「ふうん」
「これまで
おやじの夢なんか見た記憶がないんだ」
「1回も・・?」
「いや、1回くらいはあるけどさ
このところ、立て続けだもの・・・」
「怖いの?」
「怖くはないよ。
だけどなんていうのかな
なんか、不安になっちゃうんだよね。
いつもおやじがさ
おれのことを見てるんだ・・・」
「何も言わないの?」
「何も言わない。ただ見てるだけ。
いつも同じ・・・」
「あなたに
伝えたいことがあるんじゃない?」
「おれもそう思うんだ。
おやじ
おれに何かいいたいのかなって・・・」
「思い切って
聞いてみればいいじゃない」
「それはそうなんだけどさ
だって、夢だろう?
そんなに都合よく聞けないよ」
男性の方の正直さ加減に驚いたり
真剣に話しを聞いてあげている女性の
「合いの手」の間合いに
感心したりと
ひつじかいの〈貝の耳〉は
いつしか〈ダンボの耳〉になっています。
こんな偶然の会話ひとつにも
参考になるポイントが
いくつも見い出せます。
このほかにも
若いカップルが
ほのぼのとしたやり取りを続けながら
来週ではなく
一ヶ月後でもなく
半年後に
ディズニーシーへ行く約束を交わした
そんな会話も
帰宅電車の人混みの中でしたね・・。
ここでひつじかいが言いたいことは
創作に使う会話は
「生きた会話から学べ」
ということです。
自分の頭でひねり出した
不自然な会話よりも
多少辻褄が合わないところがあるにせよ
実際に交わされた会話の方が
はるかにおもしろく
奥行きがあるのではないかと思うのです。
「会話を制するものは物語を制す」
なんて言葉はありません。
でも
ある意味では正鵠を得ていると思います。
あなたも
こんなに含蓄のある
オリジナルな「会話」について
少し意識的になってみては
いかがでしょうか。
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