こんにちは、もりのひつじかいです。
今回の「絵本おすすめの1冊」は
動物ものの中でも人気が高い
〈ネコ絵本〉から選んでみました。
本日のテキストは
『うちの なまくらさん』
ポール・ジエラテイ作/せなあいこ訳
/評論社1992年)を用意しました。
絵本の有名どころなサイトでは
ほとんど紹介されることがない
マイナーな〈ネコ絵本〉。
その理由はおそらく
タイトリングのせいかもしれません。
〈ネコ〉を連想するキーワードが
入っていませんもの!
たしかに
「オススメの20冊」とか
「猫絵本ベスト30」
などという切り口にはなじまない
マニアックな絵本ではあります。
でもこの絵本
「ある部分」については
とてもよく描けていると思うのです。
そのわけを
これからとくとお話ししていきましょう。
野生にあふれた猫の生態を活写!それがマイナーな原因かな?
主人公の〈なまくらさん〉は
お外を自由に闊歩しています。
世界で最も古い愛玩動物としてのネコは
9500年前の遺跡(キプロス島)から
発見されているそうですが
今も昔も
ネコ本来の野生は
屋外でこそ発揮されます。
そういう意味でも
『うちの なまくらさん』は
アウトドア的なネコの生態を
じつによく観察しています。
ネコは
わたしたちが考えている以上に賢いし
ネコは
わたしたちが考えている以上に勇敢だし
ネコは
わたしたちが考えている以上に
無邪気です。
そんな野趣に満ちあふれたネコも
ひとたび家に帰り着くと
猫なで声でご飯をねだったりします。
この見事なまでの二面性!
『うちの なまくらさん』は
そうした猫の二面性を
ていねいに物語に仕立てた
佳作!なネコ絵本なのです。
でもこんなところが
〈ネコ絵本〉とすればマイナーかなって
思われているのかもしれませんね。
この〈ネコ耳〉の細密描写を見て!
前段でお伝えしましたように
『うちの なまくらさん』には
注目すべきポイントが
いくつかあるわけですが
なかでもひつじかいが刮目しているのが
〈ネコ耳〉ですね。
よろしいですか?
ネコの耳が
こんなふうに描かれているんですよ!
どうですか、このリアリティ!
これは写真ではありません。
なまくらさんの〈ネコ耳〉部分だけを
トリミングしたものです。
おまけに
耳の外周に少し切れ目が入っています。
ネコは縄張り争いなどで喧嘩をすると
相手の耳を狙いますよね。
ネコにとって耳(聴覚)は
最も大切な知覚アイテムですから
そこを的確に狙ってくるわけです。
ここにこうして
けんかの跡が残っているということは
〈なまくらさん〉にも
相当なライバルがいるということを
暗示していますね。
とても「なまくらネコ」では
対応できないでしょう。
いかがですか?
『うちの なまくらさん』というネコ絵本は
〈ネコ耳〉ひとつとっても
これほどまでに
神経を行きわたらせているのです。
ひつじかいが
マイナーだけどマニアックという理由が
おわかりいただけましたか?
ネコは昼間でも眠いのにゃ-
お話しの中で、この主人公?を
〈なまくらさん〉と呼んでいるのは
飼い主の子どもで5歳になる女の子です。
まだ5歳ですから
ネコは昼間でも眠たい動物だということが
よく分かっていにゃいんですね。(笑)
ネコはトラやライオンと同様
肉食系の動物ですから
1日に13~15時間は眠ります。
そのうえ
「薄明薄暮性」という
早朝や夕方に最も意識が冴え渡る
という性質がありますので
朝から夕方までの時間帯は
格好のお昼寝タイムなんです。
そんな時間帯に猫を見かけると
たしかにのらくらしている
〈なまくらさん〉と映るかもしれません。
でも
そんなところも含めて
ネコのすてがたい魅力だと思います。
あなたの家にも
〈なまくらさん〉はいますか?
え?
2本足で歩くなまくらさんがいるって?
ははは。
ひつじかいも他人事ではありませんね。
きっと家族からは
「絵本ばかり読んでいるなまくらさん」
と
思われていることでしょう。
でもこのなまくらさん
いつかきっと
絵本を描きますからね
みていてくださいよ。
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