地味な表紙の超ワンダーな絵本『こうへいみませんでしたか』

サメと出会うワンダーな旅 絵本おすすめの1冊
こうへいみませんでしたか?

こんにちは、もりのひつじかいです。

 

ひつじかいは、どうしてこうも
入手が難しい絵本ばかり
レビューするのかと
そろそろ
お叱りを受けてしまいそうですね。

 

今回の「絵本おすすめの1冊」も
そんな
〈レア物〉からのご紹介となります。

 

ひつじかいが、いいと感じた絵本
おもしろいと思った絵本を
まっすぐレビューしていくと
こうなってしまうんですね。

ご理解ください。

 

Amazonには
まだ4冊だけ中古在庫があるようですが
お値段はナント3,206円!だとか。

かなり品薄ということが分かりますね。

 

あなたがどうしても
この絵本を手にとりたくなったなら
図書館で探していただいた方が
無難かもしれません。(笑)

 

では
あらためて本日のテキストですが

こうへいみませんでしたか。

『こうへいみませんでしたか』
藤本ともひこ・さく/講談社/
1992年
です。

 

これといった物語は展開しませんし
キャラクターも相当マンガチックです。
しかも表紙は地味ときている・・。

でも
ページを開いたその瞬間に
きっとあなたは息をのむことでしょう。

 

この絵本は

そんな“息を呑む瞬間”を楽しむための

絵本なんです。

 

それではさっそく
「息を呑む瞬間」への旅に
出かけてみることにしましょう。

 

ありふれた列車のワンダーな客室

絵本『こうへいみませんでしたか』は
コブリンとそのお父さん、お母さん
それから〈こうへい〉の4人で
マジカル・トレインツアーに
出かけるシーンから始まります。

 

国籍不明。
年代不詳。
しかもコブリン一家は
三つ目族(表紙参照)ですね。

ちなみに〈こうへい〉はネコ族です。

全部で「4人」と
本文にはっきり書いてありますので
ネコ族ですが「ヒト?」なんでしょうね。

 

さて
そんな4人が乗り込んだのは
何のへんてつもない寝台型列車の
「いちばんうしろの車両」です。

 

「いちばんうしろの車両」なんて聞くと
ひつじかいは
「おや?」
って思ってしまうわけです。

 

「ななつ星in九州」もさることながら
昔から
寝台列車の最後尾といえば
豪華車両と相場がきまっていますからね。

 

しかも
列車を舞台にした映画かなんかでは
このあたりのコンパートメントで
「事件」が起きたりするんですよね。

 

ご多分にもれず
コブリン一家がチェックインした車両も
長大なソファーや
白布のかかったダイニングテーブル
なんかが置かれていたりして
明らかにスイートの香りがフンプン。

 

汽車の窓から

 

赤いカーペットが敷き詰められた
優雅な客室で
フレッシュジュースなどを飲みながら
ゆったりとした旅気分を楽しみはじめた
その矢先・・

 

〈こうへい〉の姿が見当たりません。

 

親友のコブリンを置いて
さっさと車内探検に
出かけてしまったらしいのです。

 

コブリンはというと
とても内気な少年なので
そばに〈こうへい〉がいてくれないと
どうにも気持ちが落ち着かないのです。

そこでコブリンは
となりの車両へ
友だちを探しに行くことにしました。

 

ここから

いよいよお話しが動き出します。

 

あり得ない設定に心が開放される!

〈こうへい〉をさがして
コブリンがとなりの車両を覗くと-
なんとそこは、深い森の中。

思わず息を飲む瞬間

え?

何、これ?

あり得ない!

 

梢には小鳥が・・
木陰には大きな蛇などもいたりして・・
ナチュラル感も半端ない。

 

しかもこの森(いや車両)は
ひとりの男性の貸し切りなんだとか。

 

車両のドアを開けたら
いきなり森の中へと踏み込んだ!
なんて奇想天外な展開
誰が予測できるでしょうか?

 

こうへいみませんでしたか?

 

しかし
お目当ての〈こうへい〉の姿は見えず
コブリンは次の車両へと移ります。

 

すると
となりのそのコンパートメントには
広々とした「海」が広がっていて
ボートを浮かべた老人がひとり
釣り糸を垂れています。

 

先に「森」を見ちゃってますから
衝撃はいくらか和らいではいますが
そうはいっても「海」ですし
水平線なんかも見えていますから
これは絵本なんだということも忘れて
心がうきうきと広がっていくのが
分かるんですね。

海釣り

そこで老人がいきなり
サメか何かを釣り上げたって
もう、ちっとも驚きません!

 

あの~

こうへいみませんでしたか?

いない・・?

あ、そう・・

 

絵本のお話しもすっ飛んでしまって・・

こんなんふうにコブリンが
〈こうへい〉を探して
次々と車両を移動していくと
ワニのギャング団貸し切りの
とあるコンパートメントに
たどり着いたのでした。

 

その客室の長いことといったら・・。

 

黒い背広に身をつつみ
真っ赤なネクタイをした
ワニギャングたちが
列車の椅子ならぬ木製のスツールに
整然と腰をおろしています。

 

最後尾まで

少なくとも

100メートルはあるでしょうか。

ワニのギャング団が陣取る長い客室

『こうへいみませんでしたか』18~19ページを掲載

 

絵本の中に
異質で強烈な空間が
出現しています。

 

その天外ぶりに
しばし唖然となり
目が離せなくなり
絵本のお話しなどはもうどこかへ
「すっ飛んで」しまって
このページを
なんどもなんども

眺め続けることになるのでした。

 

え~と・・

こうへい みません でしたか?・・

 

 

結局〈こうへい〉はここでも見つからず
車両だと思って入り込んだ怪物の腹中で
再会することとなるのです。

 

腹中からの脱出劇につきましては
くどくどと語ることはいたしません。
つつがなく旅は続いた、とだけ
お伝えするに留めておきましょう。



とこんな感じで
『こうへいみませんでしたか』
は続いていきます。

いかがでしたでしょうか?


なんとも不可思議な絵本です。
あり得ない設定を眺めることで
知らず識らず
心が開放されていくなんて・・。

 

こんな特異でワンダーな絵本が
レア!
レアもののオート三輪
だなんて・・。

 

それでも
あなたにだけは
なんとか手にとっていただけたらと
願うばかりのひつじかいであります。

 

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