こんにちは、もりのひつじかいです。
今日は
わたしたち人間社会に一番身近な鳥
カラスについて
お話しをしてみたいと思います。
身近にはいますが
嫌いな鳥の「前頭筆頭」くらいに
ランクインしていますよね・・?
え?
なんですって?もっと上?
大関をとおり越して横綱ですって?
あなた
それをいっちゃあ
いくらなんでも可愛そうですよ。
嫌われもののカラスにだって
おちゃめで可愛いい一面とか
同類をかばう義侠心なんかが
あるかもしれないじゃないですか。
でもその嫌いなカラス
じつは絵本の中では
人気者だってこと、知ってましたか?
カラスのことをよ~く知れば
その意味がわかってきます。
さて今回は
そんな意味深なカラスについて
じっくり観察してみることにしましょう。
カラス「なぜ嫌われるの?」
じつは世間には
カラスの隠れファンという人が
けっこういますので
あまり迂闊なことは言えませんが
市民生活において
カラスがかくも嫌われる理由は
ほぼ次の3つに集約されると思います。
・からだや鳴き声が大きくて怖い
・色などから不吉なイメージがある
・生ゴミ漁りなど不潔で迷惑な印象が強い
たしかにカラスは
猛禽類に次ぐ大きさですし
全身が漆黒ですから
やっぱり、ちょっと不気味です。
そのほかにも
ひつじかいの田舎などで見られる
前兆(オーメン的)な光景として
カラスは
「お葬式のある家」というのを
じつによく知っているんですよね。
朝も早よからその家と思しき周辺で
やかましく鳴き立てます。
ときには
「忌中」が張り出されるはるか前に
騒ぎはじめている輩もいます。
そういう〈霊感〉の鋭さを見るにつけ
「縁起でもない」鳥だなあという感懐が
どうしても強くなってしまうのです。
しかし
あの可愛いスズメが
真っ黒なカラスと親戚で
カラスと同様「悪さ」をしている
という事実を知れば
カラスに対するガードが
多少ゆるくなるのではないでしょうか。
え?
それでも許せない?
大事なスイカをやられたって?
またカラスは
とても頭のいい生き物ですので
(ちなみにカラスの脳化指数は1.25で
イヌの1.2を上回っているのだとか)
その「知能」は驚嘆に値します。
さて、ではここで
カラスの驚くべき行動をご紹介する前に
絵本に登場するカラスについて
少しおさらいをしておきたいと思います。
カラスは「パンやさん」だってなれるよ!
カラスを愛した絵本作家といえば
加古里子(かこさとし)さんの名前が
最初に思い浮かびます。
『カラスのパンやさん』(偕成社)に
お世話になったというファミリーも
ずいぶん多いのではないでしょうか。
このパンやさん夫妻には
5人の子どもがおりまして
大きくなってから
長男はパン屋さんを継ぎますが
二番目から下の子どもたちは
れぞれお店を構えるんですね。
『からすのおかしやさん』
『からすのやおやさん』
『からすのてんぷらやさん』
『からすのおそばやさん』
になるんです。
子煩悩で
働きもので
機転がきく
そんな一家の物語は
なんだか
日本の市民社会に重なって見えてきます。
そうして、それはそのまま
カラスの生態に通じるのかもしれません。
加古さんという特異な絵本作家には
そういうカラスのポジティブな側面が
よく見えていたのだろうと思います。
そのほかのカラス絵本では・・
『6わのからす』(あすなろ出版/2009)
という教訓的なお話しがありますね。
原著はあの有名なレオ・レオニ。
それを、詩人の
谷川俊太郎さんが翻訳した逸品です。
黒井さんのイラストが素敵な絵本
『からすのカラッポ』
(舟崎克彦・文/黒井健・絵
/チャイルド本社/1991)
ダイナミックなからす絵本
『おおガラス』
(井上洋介・作/ビリケン出版/2004)
いじめを正面からとらえた心に残る1冊。
こちらも谷川さんの翻訳です。
『ちいさなつきガラス』
(マーカス・フィスター作/講談社
/2010)
新しいところでは
『カーたろうとこけしっぺ』
(山田美津子・作/理論社/2019)
科学絵本では-
『カラスのはてな?』
(からさわこういち文・たにうちつねお絵
/福音館書店/2005)
来月早々には
『見たことある?こんなカラス』
(金子亘・文/田中伸介・絵/文芸社
/2020)
という絵本が
出版されることになっていますね。
猫絵本や犬絵本に比べれば
圧倒的に少数派ですが
カラスの知性や
情愛の深さに惹かれる作家は
あとをたたないみたいです。
カラスの人気というのは
どうやらこのへんにありそうですね。
カラスの「とんでもない逸話」あれこれ
カラスの知能ということでは
「クルミ」のはなしが知られていますね。
クルミの殻を割れないカラスが
どんな行動に出るのかという
あれです。
あなたも
どこかで聞いたことがおありでしょう。
これまでに
3つの「手法?」が報告されています。
★手法1(初心カラス)
高い空中から硬い地面(コンクリート)
などに落として割るという
「万有引力」を利用したパターン。
→ 殻が硬質タイプのクルミだと
成功率は低くなるらしい。
★手法2(中級カラス)
何食わぬ顔で車道に置いて
自動車がやって来るのを待つという
「ハプニング」を利用したパターン。
→ 百発百中とまではいかないまでも
かなりの確立で成功するのだとか。
★手法3(上級カラス)
電車のレールの上にちゃっかり載せて
車両が通り過ぎるのを待つ
「仕込み屋」パターン。
→ これはもう、明らかに確信犯ですね。
子どもの「置き石」を見て真似たとも
いわれています。
あのね
よい子は
決して真似をしないでくださいね。
ほかにも
鳩のエサ(豆)を売っている自販機の
硬貨投入口に
コイン状のものをくわえて入れた
という目撃情報が寄せられています。
また
東北地方の某ゴルフ場では
とあるホールの第一打が
カラスの標的になっています。
プレーヤーは第一打を放ち
第二打を打つために
ボールが転がっている地点まで
歩いていきますよね。
あと少しで到着というタイミングで
近くの樹上から舞い降りた黒い鳥が
そのボールをくわえて
場外に飛び去っていくのです。
この動画を見た専門家は-
「ここのカラスたちは
明らかにゴルフボールで遊んでいます。
その証拠に、人が近接するまで
降りて来ないでしょう?
彼らはこれを
ある種のゲームとみなしていますね」
と言っています。
いかがですか?
カラスは
ゲームを楽しむ
そんな恐るべき鳥なんです。
そういえば
かつて、ひつじかいが
春の彼岸にお墓参りをした時のことです。
団子をお供えし墓地を後にしました。
振り返ると
またたく間にカラスの一団が、い集し
お備えしたばかりの団子は
あっという間に
持ち去られてしまいました。
ご先祖様に代わり
カラスに食べてもらうというのは
この地方の代々の習わし
みたいなものではありますが
その「お行儀」の悪さが
あまりにも目についたので
一度
カラスを追跡したことがありました。
目をこらすとカラスは遥か向こうの
我が家の田んぼの辺りに舞い降り
畦の際に団子を隠したように見えました。
「はは~ん。後で食べる気だな?
よ~し、奪い返してやろう!」
すぐに走って行って
カラスが降りた地点を確認しましたが
残念なことに
〈わが団子〉は見つかりませんでした。
そんなことが2回ほどありましたね。
でも
ひつじかいは
団子のことなんかすぐに忘れてしまって
来るべき田植えに備え
田起こし(春耕といいます)を
しておりますと
すっかり固くなった〈わが団子〉が
2つばかり
ころころと出てきたことがありました。
そのときは
(へへ、さすがのカラスも所詮は鳥だ。
自分で隠しておきながら
コロコロ忘れてしまうなんて・・。)
と思ったものでしたが
ゴルボールのことを聞いたあとでは
おれ、カラスに遊ばれちゃった!
ということがよくわかりました。(汗!)
この話し
気を取り直して
昔話風の絵本にでも仕立て直せば
けっこう面白いお話に
なるかもしれませんね。(笑)
これぞ嫌われカラスの義侠心?
先日
ひつじかいが夕餉の買い出しに出ますと
前を歩いていた近所のトラ猫が
極端に姿勢を低くして
歩をゆるめました。
猫が獲物を狙う時の独特の所作ですね。
ミニチュアのタイガーそのものです。
(でも、獲物の姿が見えないが・・?)
そう思った瞬間に
カラスが大声で鳴き叫びながら
バサバサと舞い降りてきました。
フェンスの上でおしゃべりをしていた
数羽のスズメに
トラ猫がダイブしたのとほぼ同時でした。
スズメらは間一髪のところで猫爪を逃れ
素早く飛び去って行きました。
悔しそうに
「釣り落としたスズメ」を見送るトラ猫。
その「ミニチュアのトラ」に向かって
近くのフェンスに留まったカラスが
いつまでも執拗に鳴きつのりました。
そのカラスは
こんなふうに叫んでいるようでした。
弱いものいじめ!
弱いものいじめ!
弱いものいじめ!
これをいったいどのように解釈したら
いいのでしょうか?
スズメとカラスは親戚だから
親類縁者に対する〈義侠心〉なのか?
あるいは
弱いものを守ろうとする
生来の正義感なのか?
いずれにしましても
ひつじかいは
その場の光景に胸を突かれ
カラスとトラ猫の双方から
しばし
目をそらすことができませんでした。
結局カラスは
トラ猫がその場を完全に立ち去るまで
鳴き止むことをしませんでした。
いかがでしょうか?
ここまで
カラスのいろいろな側面を
お伝えしてきました。
あなたの
カラスに対する印象が
少しは軟化したでしょうか?
いやいや
そんなことでは変わりませんよ
とおっしゃいますか?
ちなみにひつじかいは
絵本のストーリーのなかに
カラスをたびたび登場させます。
異形でありながら知性があるという
アンビバレンツなところが
とても魅力的だと思うからです。
カラスのことをもっと詳しく知りたい
というあなたには
動物行動学者・松原始先生の著作が
オススメですよ。
もしかしたら
あなたもカラスの隠れファンに
なってしまうカア・・な?
『カラスの教科書』
(講談社文庫/2016)
『カラスの補修授業』
(雷鳥社/2015)
『カラスの双眼鏡』
(ハルキ文庫/2017)
カラスについて
何か新しい情報がありましたら
ひつじかいにも
耳打ちしてくださいね。
くれぐれも
嫌われカラスに聞かれないように
こっそりとね。
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